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漫画

【漫画】「魔犬 ラヴクラフト傑作集」田辺剛/ぜひ! ぜひ他の作品も漫画にしていただきたい!!

2016/10/24

あのラヴクラフトの完璧な漫画化。

ホラー&SF好きにはおなじみのP.H.ラヴクラフトです。
あのラヴクラフト作品がまさか漫画になっていたとは! 知りませんでした。すごい作品です。

魔犬 ラヴクラフト傑作集/田辺剛

収録されているのは「神殿」「魔犬」「名もなき都」の3作品。
「神殿」がラヴクラフト作品の中でもかなり好きな話なので、これはうれしい!

小説の漫画化っていうのはその作品の持つ空気を表現できているかがキモですが、これは文句なしです。

ラヴクラフトを読んだ事がある方には分かると思うんですが、あれだけ古い作品で、独特の世界を作り上げているものは漫画とかにはしにくいんですよね。よっぽど合っていないと読んだ時の違和感がすごいから。書かれている時代性もありますし。そもそもとして小説を漫画にするっていうと、読者の想像と合う合わないなんて言う問題もありますからね。漫画の実写化でもボロクソな出来なんていくらでもありますから……。

闇の表現が秀逸で絵の説得力がハンパない。
ラヴクラフトがお好きなら絶対読んだ方が良いです。

「神殿」について

戦時中のドイツ海軍の潜水艦がイギリスの貨物船を撃墜するところか始まります。
沈没した貨物船の乗組員が潜水艦に引っかかっているのを発見するのですが、その遺体は象牙細工の彫刻を持っていました。その後、潜水艦の乗組員たちが精神を病み、海の中に幻覚を見るようになるのですが……。

潜水艦の中の閉塞感と、そこで広がる乗組員たちの混乱。
はたして彼らが見たものが本当にあったのかどうかは分かりません。しかし最後に彼が見た光景は決して幻ではありません。

作中の登場人物も話しますが、あの極限状態に置いて最後まで自分を見失わず、冷静でいる艦長自身が恐ろしく不気味でもあります。どこまでも正気な人間の空恐ろしさを感じますね。

「魔犬」について

主人公と友人のジョンは退屈な日々に辟易としていました。唯一彼らを楽しませてくれるのはなんと墓荒らし。そこから持ち帰る悪魔的な戦利品が彼らの宝でした。次の遠征先としてジョンはオランダの500年前の墓を暴きに行く事を提案します。その墓で見つけた翡翠の首飾りを戦利品として持ち帰るふたりでしたが……。

不道徳な遊びに興じる者たちへ突如訪れる制裁。
自業自得な物語です。世の中にあるものが自分の裁量でどうにかなるものばかりと思ったら大間違い、という派手なしっぺ返しを食らいます。

ラストシーンの棺の描写がすごくいい。

「名もなき都」について

伝説の都を探して砂漠を旅していた男がついにその地にたどり着きます。
探索を続けていると、ある開口部から砂漠に似つかわしくない冷風がふきだしてきているのを発見します。そこから遺跡の内部へと入り込んだ男は、そこでこの文明の恐るべき真実を目の当たりにするのです。

未だかつて発見されたことのないある文明の秘密と、それが世界にもたらすものについてのお話。海と陸との違いはありますが、「神殿」共通するものがあります。謎の古代文明って本当にワクワクします。

ラヴクラフトは知らなければ良かったことがこの世には沢山あるんだという話ばかりで、楽しくてたまりません。

この人の絵でぜひとも「狂気の山脈にて」を読みたいですね。シリーズ化して欲しい〜!

2016.10.24 追記

ついに「狂気の山脈にて」が刊行されました。連載開始のニュースが最高に嬉しかったです。まだ1巻目ですが、安定の筆致で描かれる南極大陸での恐怖は期待以上で、続きがとても楽しみです!

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