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漫画

【漫画】ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望/女の人間関係は両極端。ママ友づきあいのしんどいいじめを描く。

2016/09/18

簡単なあらすじ

ダ・ヴィンチの無料連載で途中まで読んで、続きが気になって買ってしまいました。踊らされとる!

主人公のサキは専業主婦。夫と娘のミイと3人暮らしです。

楽しかったはずの幼稚園のママ友付き合いでしたが、今は苦痛でしかありません。というのも、ちょっとしたきっかけで仲良くしていたグループから外されてしまったからです。子どもじみた無視やいじめ。関係を切りたくても、幼稚園には娘が通っています。そして彼女たちは娘の友達の母親。

自分ひとりの考えで関係を絶って、娘が虐められたらどうしよう……と思うとただ耐えるしかありません。

ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望/野原広子

なかなかに重い。

可愛い絵柄でエグいママ友の内情を描く

「ママ友」の関係性って感覚が学生時代と似ています。

学校は「嫌だ!」と思ってもそう簡単に逃れられない人間関係があって、関わりたくなくても関わらざるを得ないのが同級生だったり先輩だったりするんですよね。行かないわけにもいかないし。

ママ友は繋がりが子どもな分、うかつな行動に出られなくなっちゃうのが本当に大変……。あいつ嫌いと思っても、子供が小さいうちはその親とも顔会わせる機会なんてめちゃくちゃあるわけで。

シンプルなので一見あるあるなストーリーと感じますが、共感しやすい人間関係、主人公のサキが必死に耐えている様子とか大げさじゃない分すごく読ませます。面白いし、すごくリアル。

外れてみて分かる置かれている状況

サキの考え方の変化には感情移入しやすくて共感できます。

グループの中にいた頃はただただ楽しかった。グループから外されてみたら、外側からの見え方にハッとする部分があります。
群れているからこその無意識の行動や態度は、離れてみると外からどう映っていたのかがはっきりします。

サキ自身が仲間はずれにされたということもありますが、それによって冷静な視点で彼女たちを観察できるようになったのです。

外されて初めてグループに入らないでいる他のママと交流が生まれます。

分かりやすく群れやすい環境で群れずに生きている人はその場所にこだわらない人です。この本の場合それが職場(ひとりはフルタイムで働いている。もうひとりは家が自営業)です。他にはママ友じゃないつながりの友達や隣人など。

「仲間」になることで狭まっていた視野

サキは最終的に「自分は距離を縮めすぎた」と振り返ります。

ママ友というのは結局は子ども同士が友達である、という関係の上に成り立つもので、けして彼女たちは「自分」の友達ではないのだと。

これは職場でも似たような事がいえて、「仕事」をする場で「友達」を作ると話がややこしくなるのとすごく被ります。ここまであからさまじゃないにしても、ありますよね。

無防備で素直すぎたサキは、人の悪意にあてられて嫌悪感がふくれあがり、一時はかなり荒んでしまっていました。傷つけようとしている相手から何をされても気にしなければいいのだけど、されている当人は相手の悪意を分かっていてもつらいものです。

サキが荒みきった状態から徐々に回復するのも、夫の理解や、グループに属さなかったママたちから、心地よい距離感で接してもらえたことなどが大きいです。

子どもが幼稚園に通っている以上、関わりは続きます。続くけどそこに属さない人たちも確実にいて、じゃあその人たちは辛い幼稚園生活かというとそういうわけでもなく……。急な仲間はずれのトラウマで狭くなっていた視野がフッと広がった瞬間に、サキは気持ちの切替が出来るように変化しました。

虐めた側にも言い分はあるけれど……

しかし虐めた側の酷さったらないですね。

ここまで他人を見下せるのに人と関わらずにいられないのが不思議ですが、人と比べて自分がどうか、というところにこだわる以上他人は必要ということなのでしょうか。

いじめのリーダーだった人が逆に孤立した時に、自分に擦り寄ってきたグループの他のママたちに対してサキが抱いた嫌悪感はすごくまとも。これ、現実でもよくありますよね。「わたしは酷いと思っていた」という後からの言い訳。

リーダーもアレだけどこの周りの人たちも相当だなぁと思うんです。リーダーに全部なすり付けて、自分は酷いと思ってたんだー的な。すっごく狡いですよね。

こういうタイプは土壇場で絶対に裏切るし、自分の損得が基準なので逃げたサキは懸命。というかあれで交流しようなんてとても思えないよな……。

にしても、リーダーの手のひら返しがすごすぎます。自分がしたことへ対する罪悪感の小ささに呆れます。虐めた側が「過去にあんなこともあったねー」なんて軽く考えるのもこういうことで、された側は大人の対応をしているだけなんですよね。それで「自分は許された!」と思っちゃうメンタリティがなぁ。

でもほんとにいるんだよね、こういうひと……。

いやー後半のこの全力ですがりついてくる感じがホラーでした。関わりたくないタイプ……。主人公には同情する。

義務での人間関係で、大した思い入れがないなら、距離感は大事

そこはどうしても守りたい大切な場所なの!!
なーんてほど思える空間、人間関係ってそこまでないんですよね。

  • 本当に仲がいい友達同士の集まりだったとしても、当然揉める事もあるし、どこかで完全な決別という事態にだってなることはあります。
  • 職場で「大事な仲間!」と思っていたって利益が上がらずあえなく解散、なんて事だってあります。
  • 家族は絶対一緒になければ!っていっても子どもは独立するものですし、夫婦仲だって今後どうなるもんでもありません。

色々例に挙げましたけど、結局はその場所や空間、人間関係にこだわりすぎる事で視野も狭くなりがちだと思うんです。
サキのようにいきなり仲間はずれにされたらそりゃ大人だって辛い。子どものためにも我慢、って思うのも分かる。けどグループにいることだけが楽しい事じゃないし、実際仕事場を得てサキはずっと充実して生きています。

思いがけない形で失われる人間関係は辛いものだけど、それを越えたら後は別の世界に飛び込んで行く方が建設的だなと思ったんです。

漫画だけど、似たような事はほんとうにあるんですよね。わたしはママじゃないので、ママ友じゃないですが、女の人間関係はこういう風にちょっとした事でコロコロと風向きが変わるのはよくあります。不特定多数が集まる場だと特に。

読んでいて色々思い出しちゃいますね。

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