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漫画

【漫画】異世界の色彩/田辺剛によるラヴクラフト最強コミカライズ再び!! 待ってた!!

2016/10/24

あのラヴクラフトのコミカライズが再登場です! やったー!!

簡単なあらすじ

ダムを作るために土地の調査を行っていた男は、地元で呪われた土地と言われている「焼野」を訪れます。その土地だけまるで切り取ったように風景が変わっています。そこだけ樹木もなく、灰が降り積もっているのです。そしてポツンと枯れ井戸だけがあるのでした。
興味を持った男は、焼野の近くでひっそりと暮らす老人、アミ・ビアースに話を聞きに行きます。

そこにはかつてアミの友人であったネイハム・ガードナー一家が住んでいました。
ある日ネイハムの家の井戸の近くに隕石が落ちます。善良な市民だったネイハムは町にこのことを申し出、翌日大学から教授たちが調査にやってきます。

表面に熱を帯び、材質すら不明なその隕石に教授たちは興奮し興味を持ちますが、雷雨になった夜、何度も落雷を浴びたその隕石は消えてしまいます。

異世界の色彩/田辺剛

そしてネイハムが営む果樹園の収穫の時期、異変が起き始めるのでした。

ラヴクラフト作品の中でも最高に好きな作品のコミカライズです。嬉しい!

前の本では3本の短編のコミカライズでしたが、今作は1冊丸ごとです。多すぎず少なすぎずのバランスで語られる物語構成に脱帽です。
相変わらずのクオリティ、世界観をしっかり表現する絵柄。非の打ち所がありません。田辺剛という人は絵だけでなく語りが上手いんですよね。小説のコミカライズは説明過多になりやすく、状況説明の文章が鬱陶しいのも難点なんですが、ことこの作品群たちにそれを感じた事はありません。

マニアックなファンが多い作品のコミカライズは難しいはずなんですけどね、作品と作者のイメージが完璧なまでに合致しているということなんでしょうね。
作家の好き嫌いと、小説の漫画化は別問題です。好きな漫画家さんがコミカライズしたからといって、自分のイメージと必ずしも合うわけではありません。絵柄が合っていても演出が物足りないとか、尺足りてねーとかよくありますよね。原作が好きであればあるほど、コミカライズされたもとのイメージのギャップに苦しみます。

それを全く感じさせない田辺剛、恐るべし。

SFとホラーは相性がいい

得体の知れない宇宙からの物質(?)がもたらす恐怖。
モンスターホラーの亜種とも言える作品ですね。「それ」自体が実際に人に襲いかかる描写よりも、じわじわとその地に住む家族の体と精神を蝕んで行く様は、直接的な描写がなくても最高におぞましいです。当事者の家族ではなく、傍観者と言っていい隣人の視点で描かれるのも、想像力をかき立てられます。自分がそういう目に遭うよりもずっと悲惨で心を蝕むのかもしれません。親しかった友人の変貌と、成す術もなく状況の悪化を観ているしかない無力感がすごい。

アミがずっとあの地を離れずに見張っているのも分かる気がします。まるで贖罪のような義務感であの井戸を見張る。彼を縛るのは罪悪感や無力感ではないのだろうと思います。本人にもどうしようもなく、ただ最後のアレで、離れられなくなってしまっただけ。

超自然なものに対する説明は不要。宇宙は広大なのですから、なにがいてもおかしくない。それでいい。
それでも、説得力は必要なんですよね。得体の知れない存在に対する説得力って、難しいはずなんです。それを成し遂げてしまう作者は本当にすごい。

これからの作品が更に楽しみになりました。

前にも書きましたが、「狂気の山脈にて」をぜひコミカライズしていただきたい……!

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