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【映画】残穢(ざんえ)—住んではいけない部屋—/小野不由美原作、残穢観てきました。

2016/07/10

小野不由美原作、「残穢 住んではいけない部屋」を観てきたよ

小野不由美といえば、十二国記ですが「悪霊シリーズ」でも有名です。コミカライズやアニメ化でこちらを知った方も多いんじゃないでしょうか。
少女小説の皮をかぶったガチホラーです。主人公が高校生の少女なので、甘酸っぱさもありつつ、容赦なくホラー展開するのが著者らしい作品です。

とまぁ少女向けで長らく活動していらっしゃいましたが、いまや屍鬼などでホラー作家としても知らない人はいないって感じですよね。

ということで残穢です。小説はまだ未読。予備知識なしで楽しんで参りました。

こちらはネタバレなしの感想です。
ネタバレバージョンはこちら
【映画】残穢(ざんえ)—住んではいけない部屋—/ネタバレバージョンのレビューです。ご注意!

簡単なあらすじ

怪談雑誌に連載を持つ作家の主人公。編集者から次の怪談のための読者投稿を受け取ります。

その中にひとり暮らしの女子大生が送ってきた、マンションの部屋に関する不可解な話がありました。興味を持った主人公は、その部屋で起こる怪異のルーツを探ることにします。

差出人は久保さんという女子大生で、ひとり暮らしを始めたマンションの部屋の奥の和室から畳を擦るような音がするということでした。酷くなる異音に困っていたある日、久保さんはその音とともに消える和服の帯を目撃します。こすれる音は和服の帯が解けて畳にこすれる音だったのです。

不安を覚えた久保さんは管理会社や近所の住人にこのマンションで過去に何かなかったかを尋ねますが、そういった事実は出てきませんでした。

主人公はその久保さんの話で、過去にも同じような怪談の投稿があったことを思い出します。保管していた手紙を探し出してみると、それは久保さんが住むマンションの別の部屋での出来事だったのです。そこでは同じような異音を聴いた話と、投稿者の幼い娘の奇妙な行動について書かれていました。
同じ建物でも別の部屋で、同じ怪異が起きるのは一体なぜなのか。

 

劇場公開前なので、ネタバレは控えます。原作は未読です。

ちりばめられた断片が繋がってゆく快感。謎解きホラーの魅力。

手堅い作りをしている分、ホラーにありがちな過剰な色々を期待していると肩透かしを食います。「ホラー」ではなく「怪談」映画なのです。実話怪談をベースにした因縁話という感じ。

しっかり映画として作っていますが、雰囲気はフェイク・ドキュメンタリーに近いですね。
登場人物たちが怪異の原因を探るために情報を集める過程がミステリっぽいです。が、謎を解明、という話ではありませんので、情報が集まれば集まるほどに不安になります。
続々とゲンナリする過去話が出てくればそうなりますよ。そして現在進行形で自分の部屋では不穏な現象が起きているわけですから。

あるマンションで起こる怪異の原因を探るために、その土地のルーツを探るのですが、断片的に集まってくる情報が揃った時にガッチリと組み合わさるというこの不気味さがたまらないです。

中盤から一気に畳み掛けるように様々な事実がなだれ込んできます。
序盤はさぐってもさぐっても、過去にこの部屋で事件は起きていない、という事実しか出てこないのに対し、中盤になると、どんどん情報が集まってくる。その勢いの加速がむしろ怖いんです。

事実の積み重ねることで、そこにある業の深さを物語ります。長い長い年月をかけて積み上げられたそれは、気安く触れていいものではありません。

POVとは違う生々しさ

ノンフィクションホラーというと、POV映画が真っ先に浮かびますが、こういう形式もアリだな、と思いました。
事実を積み重ね、それらが組み上がり、結論に達する。過剰な演出に流れがちなホラー映画とは一線を画す作品でした。

ただ淡々と判明してゆく事実の積み重ねは、私たちの生活にも直結してくるものでした。日常の延長にある、人ごとではない恐怖です。

事故物件というのは昨今ではすっかり定着していて、作中でも不動産屋が「告知の義務があるんですよ」と話しています。その事故物件を納得して安く借りる人物が登場するのもまた日常的なことです。

怪談話というのは、日常の延長で起きる不可解な出来事です。自分とは縁遠いこともあれば、ちょっとした「ズレ」のような話もあって、そこに気づくか気づかないかも人によるでしょう。

この映画でも同じように暮らす家族でも、それに気づいてしまった、引っ張られてしまうひととそうでないひとがいます。うっかり気がついてしまったり、引っ張られてしまったひとは、望まない悲劇へと踏み込むことになるのです。

気づかないことが幸福なのだろうと思いつつも、分からないからこそ、危険域に足を踏み入れてしまうのではないか、と心配になったりして。

ひとり暮らしの自分の部屋に帰るのが、ちょっとだけ怖くなっちゃうかもしれない作品です。

手堅いキャスティングが話の説得力を増します。

主人公である「私」を演じるのは竹内結子。
リアリストでありながらも怪談を綴るという仕事をしているという彼女。語り手である主人公の淡々とした口調がより怪談を怪談らしく感じさせてくれます。

きっかけになる部屋に住む女子大生の久保さん(仮)を演じるのが橋本愛。あまちゃんもろくにみたことがなかったわたしは、橋本愛の演技を見るのは初めてでした。知的なイメージが好印象です。キャアキャア言う感じじゃないのがいい。

佐々木蔵之介演じるテンションの高い怪談作家は面白かったです。何かハマってて。

昨今の日本のホラー映画のアイドル化はどうかと思っていたので、こうもガチの俳優陣できっちり作ってくれるところが嬉しい。非現実的な話は説得力が必要なんです。「リング」だって、成功したのはあのキャスティングあってこそです。

評価は割れると思う

ホラー映画らしいホラー展開を望むと、肩すかしを食います。
事実や資料の積み重ねにゾクゾクする人は好きでしょうね。伏線がバチッとハマったときが最高潮です。

わたしの率直な感想は、「惜しい!」でした。

なにがって書いたらネタバレになるので伏せますが、上に書いた通り、かなり良かったので、惜しい部分が尚更もったいない感じで……。こういうのが好きな人はバチッとハマる映画だと思います。怪談好き、因縁話好きはぜひ観に行ってはいかがでしょうか。謎解き過程がかなり楽しいのですよ。

原作がどうなっているのか気になるので、本も買って読んでみるつもりです。そっちはそっちで比較レビューを書きたいところですね。

原作読みました!

小説のレビュー記事はこちら
【小説】残穢(ざんえ)/実話なのか小説なのか不安になる作品。

小説の方がノンフィクション感が増します。
映像と小説とで演出が異なる部分もあるので、比べてみるのも面白いですよ。

 

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