つぶらいん

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小説

【小説】「蝿の女」牧野修/カルト教団に狙われた主人公たちが助けを求めたのは悪魔?!

あらすじ

ネット上で知り合った「オカルト部」のメンバー。
ある廃墟の探索を楽しむはずが、そこで妙な儀式のようなものを目撃してしまいます。女たちが地中から光る男を掘り起こしているのです。逃げ出したものの、そこに1人のメンバーを残してきてしまいます。戻ったときには廃墟は無人で、仲間も見つけ出すことはできませんでした。
日常に戻った主人公でしたが、オカルト部の「部長」の蒲生からメンバーの1人が自殺したことを聞かされます。
そして、主人公の元にもあの日目撃した女が現れるのでした。

序盤の不気味さとジリジリ追い詰められる恐怖感に一気に引き込まれます。

牧野修の魅力がみっしり詰まった快作。

うっかりカルト教団から狙われるハメになった主人公たちを助けるのが蠅。そう、蠅の王ことベルゼブル。今回は女です。
このカルト教団というのが、キリストの復活を標榜する集団で、苦痛を与え死した後に蘇えさせることで信者にするというなかなかに個性的な勧誘方法を取ります。実際に蘇らせている(大分ゾンビ寄り)わけです。こんな集団に狙われては対応のしようがない、ということで、むこうが神様ならこっちは悪魔だってことでベルゼブル召還と相成ったわけですね。

なるほどー。

ここまで読んで「どういう話だこれは」と思ったでしょうが、まぁこれが面白い。
つまんないところで引っかかることなくスルッと飲込んでしまう物語の勢いがあるんですよ。牧野修の小説のこの強引な感じ、すごく好き。

蠅、最高。

ただの人間である主人公、城島とオカルト部の人々はどんどんやられてしまいます。なにしろむこうはよく分からない妄想まで操るのですから、油断していると精神面からやられてしまうのです。

そこで奇策を打つわけです。悪魔召還! マジか。
出てきた悪魔は長身で毛皮をまとった黒尽くめの女。常に丸い棒付きキャンディーを嘗めています。

この蠅が強い。そしてちょっとかわいいところもあったりもするんですよ。そのかわいい部分はわたしの主観でしかないので、作中にそのような記述はありませんが。

主人公の周りをうぶんぶん飛び回る蠅を「わたしの妹」と称していたり(事実だろうけど)、主人公にちょっと助けられたときはちゃんと貸し借りでカウントしてたりして。ぶっきらぼうなところもいいんですよね。不思議な魅力。電車での蠅はわたし的にかなり推し。

最強レベルで強い蠅がぎったぎったとキリステアン達をやっつける! その様はグロテスクでありながらも壮快で、ホラー展開だけどもワクワクしちゃう。この胸の高鳴りをどうしたらいいのか。

わたしがこの作品を推す最大の理由がこの蠅なんです。いいぞー、蠅、いいぞー。

そして、主人公の城島というのが、ヘタレなようでそこまでヘタレじゃないのもいいんですよ。
なんか蠅といい感じのコンビになってるし、けっこう行動力もあるしでかなり好感度大。あのエンディングもなんだか微笑ましく感じちゃうんですよね。

文句なしに面白い。蠅に興味を持ったらぜひ。おすすめです。

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