つぶらいん

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小説

【小説】深泥丘奇談・続/綾辻行人の怪談本再び。さらに幅広くお話が広がります。

2017/01/23

1冊目よりもより幅広く「奇談」を集めた短編集です。

続けて読んでいるとよくわかりますが、1作目は正統派綾辻怪談という感じ。2冊目のこちらは、スタンダードな怪談話から、冗談のような話までバラエティに富んでいます。

正直ちょっと賛否あるだろうなというお話も含まれています。わたしはテイストが違いすぎてびっくりしました。

不可思議な現象とそれに遭遇する作家、主人公を翻弄する(?)深泥丘病院の人々が再登場です。
この感じ、癖になる。

あらすじ

推理作家の「わたし」は、早朝の散歩の途中に立ち寄った神社の境内から、がらん、と鈴の音がするのを耳にします。奥に向かうものの、そこは無人で人のいた気配も感じられません。
神社の様子から、管理する人がいなくなってしまった廃神社ではないかと想像する主人公。長年この土地に住んでいるはずなのに、こんな場所に神社があることすら知りませんでした。不思議に思いつつ、自宅で妻にその話をするのですが、この土地に詳しい彼女も首を傾げます。

数日後、再び神社を訪れた主人公は、また同じく鈴の音を聞きます。今回は、鈴を鳴らした人を見逃さないように急いで向かうのですが、やはりそこに人の姿はありません。そして、雨のせいでぬかるんだ地面には、足跡すら見つけられなかったのです。一体誰が鈴を鳴らしているのか、疑問に思った主人公は……。
(1話目「鈴」あらすじ)

主人公「わたし」が出会う怪異短編集第2弾。

深泥丘綺談・続
綾辻行人

前作よりも冒険心のある短編集

この短編集そのものが、別世界の京都、という風に描かれていますが、今回はさらにその中でパラレルな展開を見せてくれます。
というのも、主人公「わたし」は著者の綾辻さんがモデルと思われる推理作家です。ところが、いくつかの短編で刑事の「わたし」が登場するのです。そしてその作品がまた荒唐無稽で「まじか」と思わず呟く作品なんです。悪ノリしたのか? そうなのか?

あとがきでも、賛否あったことに触れています。
でもなんだか嫌いじゃないぞこの短編、と思わせる綾辻すごい。

荒唐無稽な作品に目がいきがちですが、逆に過剰な物を削ぎ落とした正当はな怪談と取れる物もあり、振り幅がでかい。
読んでいるこちら側が翻弄されてしまいます。

わたしのお気に入り短編

わたしが好きなのは「コネコメガニ」ですね。
食と怪談という組み合わせはなかなかに異色。喜々として食べる妻と隣人たちに対して非常に怯える主人公のズレが面白い作品です。

簡単にあらすじをご紹介

妻から隣人と一緒にかにを食べに行くことを提案された主人公「わたし」。快諾した物の、微妙に甲殻類に対する苦手意識がありました。アレルギーがあるわけでもなく、味が嫌いということもありません。ただ、そこまで好んで食べたくはない、というところ。
自分でも不思議に思い、記憶を辿っていくと幼い日の光景に思い至ります。
憂鬱な気持ちを抱えつつ、食事に向かう物の、かにを目の前にするとなかなか食欲が湧いてきません。そこで、主人公は口を開きます。

「カニの呪いとか祟りとか、そういうの考えたことある?」

※「深泥丘綺談・続」より

大分端折りましたが、こういう感じで話が進みます。主人公のカニが苦手になった経緯がなかなかの物だったり、さらに呪いとか祟りとか言う話をもちだした後の展開がすっごい好き。

このシリーズ、石倉医師も好きですが、奥さんが絡んでくる話がわたしの中でのお気に入り率が上がるんですよね。前作だと「サムザムシ」が好きだったし。
わたしの趣味がよく分かりますね!

続いて欲しいこのシリーズ。別世界の京都をもっと知りたくなります。

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