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【小説】ブラック・ベルベット/異国で消えた女性研究者と黒い苔に覆われた死体の関係性は?

2017/01/22

「MAZE」「クレオパトラの夢」の読者にとっては待ちに待った神原恵弥シリーズの3作目です。

このシリーズが面白いのは、神原恵弥というキャラクターがこちらの好奇心をくすぐるところでしょう。強烈な個性の持ち主であることはもちろん、その背景や思考が読み手には計れない部分が多く、主人公でありながらも感情移入を必要としません。
どちらかというと、恵弥の行動を後ろから追っているようなイメージです。

様々な人の思惑が入り交じって、話の本筋がなかなか分からないのがこのシリーズの特徴。

それぞれが断片的な情報でしかないのですが、それらが複雑に絡み合って展開していく物語にいつの間にか夢中になること間違いなしです。

あらすじ

神原恵弥は製薬会社の仕事でT共和国のイスタンブールに来ています。表向きはその仕事関係の見本市ですが、彼にはまた別の狙いがあるようです。
さらには知人の多田からついでに、とある女性を捜索する依頼されてしまいます。

イスタンブールで飲食店を営んでいる学生時代の友人の時枝満に通訳兼案内を依頼し、合流した恵弥は、彼から黒い苔に覆われた死体の話を聞きます。不可解な噂レベルの話でしたが、仕事柄恵弥は妙に気にかかります。調べてもそれらしい情報をつかむことはできません。

果たして今回の恵弥の目的は……?

ブラック・ベルベット/恩田陸

 

今回の主要人物たち

「MAZE」に登場した時枝満が再登場します。
彼は今イスタンブールで飲食店を営んでいます。今回は通訳兼案内として恵弥に協力します。そして、満と同じく、高校の同級生の橘。彼は恵弥の「初恋の人」です。「クレオパトラの夢」で名前が出ていましたが学生の頃恵弥と付き合っていたという過去にギューっとなります。いやその、そういうんじゃないけど、やっぱり腐女子心がくすぐられます。ごめんなさい。

そして、恵弥に人探しの依頼を持ってくるのが、「クレオパトラの夢」に登場した多田。ちょっとしか出てきませんが、相変わらずなんか食えないお人って感じです。この恵弥をいい感じに丸め込むのが上手なんですよね。恵弥と多田がメインで1本長編読んでみたいなぁ。面白い組み合わせだと思うんですけど。

双子の妹の和見もちょっとだけ登場したりして、シリーズ続けて読んでいると楽しいですね。

恵弥の目的は相変わらず謎が多い

今回の舞台はなんとT共和国。イスタンブールがメインです。
異国情緒を感じつつも、登場人物が恵弥と、満と、橘。日本人だらけです。そして場所がどこに移ろうが恵弥は恵弥。安定のあの口調あの調子ですごく安心します。ブレない人っていいですよね。

今回も相変わらず恵弥はあちこちでマークされています。目立つ上にできる人だから注目されているというのもあるんでしょうね。

彼には彼の目的があるのですが、それを探る以前に様々な問題や疑問がどんどんやってきます。今作では人探しの依頼がその筆頭です。その上、その対象だった女性が恵弥の目の前で殺されてしまいます。

思惑を持って恵弥に接触してくる人はどいつもこいつも怪しいし、誰が敵で味方なのかもわかりません。もっと言うと、敵味方、と分かりやすく括ることもできない気がします。
それぞれがそれぞれに思惑があって動いているから、場合によって有利になったり不利になったりする。邪魔になることもあれば、協力し合うこともある。

一概に判断できない人間関係がこのシリーズの面白さでもありますね。

続きが読みたい

魅力的なキャラクターというのは、彼らのその先がとても気になってしまいます。
恵弥に限らず、このシリーズの人々はみんな「この先」が気になる人たちなんです。

今回のラストで、恵弥のこれからにちょっと変化がありそうです。こういう話がでたということは、続きがあると期待してもいいのでしょうか。期待したい。読みたい。

神原恵弥シリーズについて

1作目は「MAZE」今回登場して大活躍(?)の満が主人公のお話。アジアのどこかの国で、人間が消失するという曰く付きの遺跡の謎を解く安楽椅子探偵をします。それを満に依頼するのが恵弥です。

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2作目が「クレオパトラの夢」。舞台は一転して日本。恵弥の妹の和見が登場します。「ブラック・ベルベット」で恵弥に人探しの依頼をする多田ともここで知り合っています。

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どちらも今作とはまた違った味のある作品。ハマります。

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