つぶらいん

本や映画のレビューを中心にしつつ、ぼっち&出不精生活を満喫する管理人の日常のブログです

漫画

【漫画】うなぎ鬼/一気読み確実! 読み始めたら止まらない。

2017/01/22

原作は未読です。
ネットでよく広告を見かけて、ずっと気になっていました。冒頭だけ試し読みができたので、読んでみたら続きが気になって漫画全巻買っちゃいました。そして一気読み。面白かった!

どうなるんだー!? という先の読めなさにページをめくる手(iPadだけど)が止まらないのです。ずーっと緊張しっ放しなストーリーです。主人公と一緒になって汗がダラダラ流れるよ。

あらすじ

借金を抱えた倉見は、困っているところを助けられた千脇に拾われ裏家業の仕事をしています。
毎日取り立てと同僚の富田の手伝いで運転手をしてたのですが、あるとき千脇からある荷物を運ぶ仕事を言いつけられます。

指定の場所でトラックに乗り、黒牟町にある千脇の弟が営むうなぎ養殖場に運ぶこと。トラックに乗る前に荷台の箱があることを確認し、運搬するだけ。簡単なような仕事ですが、5〜60キロのコンテナの中身に関しては明言を避ける千脇に、倉見は不安を覚えます。

同行する富田も、倉見と同じ不安を抱いていており、黒牟へ向かうこと自体を嫌がっているようです。しかし、社長である千脇の命令に逆らうこともできず、ふたりはそのコンテナを運搬します。その中身が何なのかをうっすらと察しながら……。

うなぎ鬼 全3巻
作画:落合裕介/原作:高田侑

一気読み確実。読み始めたら止まらない!

広告に切り取られている断片で想像していた話と展開はまったく違いました。良くも悪くも想像が貧困かつホラー脳なので、安直な流れを想像してたのです。この辺は主人公の倉見を馬鹿にできないわたし。

見た目に反して、傷心ですぐに怯えて泣いちゃう主人公。
その見た目の利点を社長に説かれ、強制イメチェンで強面になっちゃいます。そういう風に見られることになれようとし、利点を生かそう、と腹をくくったものの、根っこのお人好し具合がどうにも改善できずに深みにハマる、という悪循環に陥ります。

倉見も富田も「詳しくは知らない」

このふたりが荷物を運搬するところが印象的です。
ふたりとも5、60キロあるコンテナの中身は知りません。社長からあえてぼかされています。「知る必要がない」と。知らないからこそ、なにが入っているかを想像します。その想像で恐ろしくなるのです。

不思議なもので、例えば「このコンテナの中身は死体」と教えられていたら、ここまで怯えないのではないかと思うんですよね。そりゃ気分は良くないし、バレたら大変だし、怖いは怖いでしょう。でもはっきりしているほうが、受け入れやすいことは確かです。「知らない方がいい」と言われても知りたくなるんですよね。

1巻の最後に原作者の高田侑さんのあとがきがあります。
ここにも

何をさせられているのかわからずに働くことほど怖ろしいことはない

※うなぎ鬼 1巻より

という一文がありました。
人間の勝手な想像というのはどんどんたくましくなります。そして、その想像というのは、悪い方向には大いに働くんですよね。そこがこの物語のポイントではないでしょうか。

主人公の性格がまたトラブルを引き寄せる

主人公の倉見は、お人好しで人を表面通りに捉えがちです。
漫画を読んでいても、「ちょっとは疑えよ」と言いたくなることがちょいちょいありました。自分に都合がいいことも悪いことも表面通りにとらえ、相手が自分を利用しようとしているとかはまったく考えないんですよね。

1巻の冒頭で借金を背負うに至った経緯も都合のいいプラス思考しかなかったですし、ウナギの養殖をやっているマルヨシ水産の人たちに対しても見た目の印象で一方的に怯えています。

とても単純であるがゆえに、一直線にしか思考できないってことなのかなと思ったりしました。

倉見の奥さんが清涼剤

結婚の経緯を読んで「倉見すげー」と感心してしまいました。
社長から「美人じゃねぇが〜」と言われ心の中で「……美人だよ」と口答えしてるのを読んで笑っちゃいました。奥さん大事に思ってるくせに馬鹿だよなー。
この奥さんが殺伐としたこの漫画の清涼剤と言うか完全にオアシスになっています。

倉見と富田が送り迎えする女の子たち、意図的なんでしょうがとにかく目が怖いんです。はるかとか不気味すぎて……。

変身した倉見に対する奥さんの反応とか、めっちゃいいですよね。倉見が語るところによると、借金が大変だった頃は沈んでいたこともあったようです。そこを乗り越えてあの感じなのだとしたら、すっげーいい奥さんです。だってその頃の一番ダメだった倉見と一緒にいてもなお、今ああいう感じで明るくなったわけですからね。

まじでオアシス。

黒牟で生きる人々

冒頭の荷物の運搬の件や、原作の小説が角川ホラー文庫なのもあって、単純にそういう話かと思い込んでいました。
物語全体を包む空気感はホラー的ではありますが、どちらかと言うと人間ドラマな部分が強いでしょうか。

というのも黒牟町という場所、そこに暮らす人々、彼らの事情やそこで育った社長の考え方など、最後まで読んでみると読み始める前の印象と大分変わります。

倉見から見た社長と、富田から見た社長は違うでしょう。わたしはどちらが話す社長像も合っていると思うのです。底の知れなさはありますが、かといって非道なだけのひとでもありません。しかし人情家ということでもないのです。あの人の中の哲学があり、それに従って生きているのだろうと伺えます。

そしてそれは黒牟の人たちもそうなのです。
架空の町の黒牟町とそこに暮らす人たちは、フィクションとは思えないほどのリアリティがあります。それは断片でしか描かれないそこに暮らす人々の姿によるものが大きいです。

タイトルの「うなぎ鬼」とは一体何を差すのか、色々と解釈は可能です。読み終えた後に、自分はどう思うのか考えてみるのもいいと思います。

原作も読んでみようか

3巻とも巻末に高田侑さんのあとがきがあります。それぞれ、その巻の内容に合わせて書かれています。

漫画を最終巻まで読んで、改めてこのあとがきを読むと、書かれた背景やその世界についての理解がもうひとつ深まります。こういう裏話も楽しい部分のひとつですね。

かなり風変わりなお話なので、裏話が読めるのは嬉しいかぎり。原作も読んでみようかと思いました。

-, 漫画
-