つぶらいん

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小説

【小説】さよならの手口/探偵・葉村晶シリーズ。いきなりの不運の連続に唖然。

2017/01/22

相変わらずの不運さ爆発の探偵・葉村晶に冒頭から同情してしまいます。

バイト先の引き取りで行った先で建物倒壊。床下に落下して白骨死体に頭突きで入院。カビだらけの家屋での作業だったため肺が真っ白になってICUに入ることになったり、序盤数十ページでの被害がすごいです。

今回も厳しい事件ですが、晶のキャラクターにどこか救われます。このシリーズは外れがありません。

あらすじ

契約していた探偵事務所が閉鎖することになり、知り合いのミステリ専門の書店でアルバイトをしている葉村晶。
仕事で古本の回収に行った先で建物の倒壊に巻き込まれてしまいます。そして晶が落ちた床下には白骨死体があったのです。
昏倒して入院することになった晶は、聞き取りにきた刑事に自分の考えを話し事件は解決します。それがきっかけになり、同室に入院していた元女優の芦原吹雪から、行方不明になった娘の捜索を依頼されてしまいます。

受難の女探偵葉村晶シリーズ。

さよならの手口/若竹七海

入院先でさらに面倒なことが……

白骨死体が今回の事件に関わる話かと思ったら、そっちはすんなり解決(したけどすげー事実だった)。同室だった女性から半ば強引に娘探しの依頼を受けるハメに。
毎度毎度、依頼者側のほうがかなり癖があるのがこのシリーズの特徴ですが、今回もまた濃い人たちでした。

二十年前に家を出た娘を探してほしいと晶に依頼する元女優の芦原吹雪。余命幾ばくか、という状況の彼女は最後の心残りを解消してほしいと強引に晶に依頼します。

断りたい気持ちもあるものの、入院で切り崩された貯金に不安があった晶は、条件付きで引き受けることになります。

この調査中も女探偵はなかなかの受難ぶりです。相変わらずでなんかもう、お疲れさまです!って感じ。

葉村晶の魅力

このシリーズの特徴ともいえるのは、晶の独特の視点です。どこか冷めた目線で周囲を眺める晶ですが、その目の厳しさは自分自身へとも向けられています。

彼女の受難体質はそこにも起因する気がします。
人間誰しも自分をうまくだまして都合のいいように生きていたりする面があるんですが、彼女の場合それを自分に許していない気がします。
警察庁の当麻からの理不尽な押しつけに対してもいったん自分を納得させていうことを聞こうとしますが、途中で気が変わってしまったりするのもそのあらわれではないでしょうか。

不器用で、ごまかしがきかないのはなにも他人に対してだけではないのです。他の人のよけいなことにまで気づいてしまうのも、もって生まれた性質ともいえるのです。
そして、そこが女探偵、葉村晶の魅力でもあります。

手加減をしない調査っぷり

調査に手加減をしないのが葉村晶のいいところ。

引退した元有名女優の娘の捜索は、彼女たちの隠された過去まですべて引っ張り出すことになります。

元々、娘の志緒理の出生自体にも秘密があり、失踪当時はテレビでも父親の特定で騒ぎになった過去があります。大物俳優や政治家などの名前も挙がっていました。
渡された資料には20年前に調べた探偵の調査書もあり、そこに記されたことから晶は調べ始めるのですが、その探偵自身がその調査後に失踪していることが判明します。

とまぁ、大筋の話だけでもなかなかボリュームのあるストーリーなのですが、晶の身辺もなにやら怪しい動きがあったりと、油断なりません。

仕掛けがたっぷり。大盤振る舞いなストーリー展開に夢中になること間違いなしです。

葉村晶シリーズについて

ほかの葉村晶シリーズを読んでいなくても楽しめますが、読んだらほかのシリーズも読みたくなるはず。

というわけで1作目がこちら。連作短編になっており、まだフリーター時代の葉村晶と小林警部補がそれぞれ主人公になったものが交互になっています。
「プレゼント」だけKindle化していないもよう……。

2作目は葉村晶単独の短編集。「プレゼント」のその後が描かれます。長谷川探偵事務所でフリーの探偵として仕事を受けている晶の話。

詳しくはこちら

3作目は初の長編。
家出中の女子高生を連れ戻す仕事が、思わぬ展開へと転がっていきます。恐ろしく皮肉の利いた話で、なんとも言えない読後感があります。

8月にまた新刊が文庫で出るようで、楽しみですね!

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