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小説

【小説】悪いうさぎ/探偵・葉村晶シリーズ初の長編! 失踪した女子高生を探すうちにたどりつく真相が重すぎる

2017/01/20

若竹七海の長編はボリュームがすごい。

葉村晶シリーズは2冊の長編がありますが、どちらにも共通して言えるのはひとつのストーリーに絡めて、惜しげもなく様々なエピソードが投下されているということです。たぶん関係のある話なんだろうとは思いつつも、読み手はなかなか事件の全体像を掴むことができないのです。

複雑に絡み合ったストーリーに翻弄されましょう!

そして相変わらず葉村晶は不運の連続です。

あらすじ

長谷川探偵事務所と契約探偵中の葉村晶。家出した女子高生のミチルを連れ戻す仕事で負傷してしまいます。
その後、退院した晶を指名で依頼が舞い込みます。ミチルの父の友人の滝川からで、娘の美和が行方不明になっている手がかりをミチルから聞き出して欲しいと言うもの。ミチルに会って話を聞きますが、何か気になることはありそうなものの、美和の居場所に関しての情報はありませんでした。

ところが、その数日後美和の親しかった友人として名前が挙がっていた柳瀬綾子が殺されてしまいます。
さらに、美和の他にも行方が分からなくなっている少女がいることが判明してしまい……。

悪いうさぎ/若竹七海

少女失踪事件に絡む様々な人の思惑

一見地味な少女の失踪というスタートから始まり、引きずり出される事実がヘビー級なのです。

晶はあくまで行方を探すために調査をしているのですが、どうにも掴めない足取りや事実がページが進むごとにどんどん不穏な空気になって行くのです。

女探偵は今回も災難に遭いまくるし、依頼人は厄介な人物ばかりだしで大変です。

肩書きはでかいけど、どうにもこうにも頭が悪い滝川とか、家族から目を背けてているミチルの父親とか、できるようで脇が甘い美和の母親とか。なんちゅーか大人の狡さとか汚さがぞろっと出てきた話です。

晶のあの冷めた目線で語られてなければ、読んでてつらくなりそうな内容です。
かわいい表紙に騙されると後悔します。判明する事実の胸くそ悪さったらありません。

酷い目に遭い続ける不運な探偵葉村晶と仲間たち(?)

相変わらす酷い目に遭う葉村晶はシリーズではおなじみです。
冒頭で同行した調査員の暴走のとばっちりで骨折した上に、どさくさで刺されて入院。何でしょうか、葉村晶は冒頭で必ず盛大に酷い目に遭うのが定番になっているのでしょうか(長編2作目の「さよならの手口」もなかなかの目にあっています)。

が、今作のオアシスになるのが、冒頭の家出女子高生平ミチル。
くそ生意気なガキ、というのがピッタリくるミチルですが、じんわり晶を信用しだすあたりが、野良猫が懐くみたいでかわいい。

そして晶の大家の光浦功。
立て替え寸前とも言える年代物のアパートを営む光浦は面倒見がとてもいい。晶を「葉村ちゃん」と呼ぶ大家は晶のために入り口にセンサーライトを取り付けてくれたり(有料)もするのです。
大変な目にあった晶が帰ってきた時に、ミチルと一緒になって盛大に世話を焼いたりして、すごく微笑ましい。うん、こんな大家がいるならぼろくても住みたいぞこのアパート。
この人が出てくると和みます。彼と晶のやりとりがとても和みます。

葉村晶シリーズはおすすめだぞ!

連作短編から始まった葉村晶シリーズ。

1作目は「プレゼント」。フリーターの葉村晶と小林警部が交互に主人公になるお話。

2作目は契約探偵として長谷川探偵事務所に晶が復帰するお話。友人のみのりと共同生活時代です。
「依頼人は死んだ」の記事はこちら

「悪いうさぎ」はシリーズ3作目で初の長編でした。
その次にあたるのが「さよならの手口」です。

残念ながら晶は引っ越して別のところに住んでいます。でも光浦出てくるよ! ちょっとだけだけど。
長谷川探偵事務所が閉鎖することになり、本屋でアルバイトをする晶がまた酷い目に遭います。

「さよならの手口」感想記事はこちら

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