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漫画

ラヴクラフト好き必読の漫画。田辺剛のラヴクラフト傑作集がすごい!

2017/01/20

このブログでも本が出るたびに紹介させていただいている、田辺剛さんのラヴクラフトのコミカライズ。表紙からしてカッコいいですよね。面で置いておきたくなる装丁。

紙で買っとけば良かったかな……と思う反面、デジタルだと見開きがバーンと見れるという利点があるのです。
白と黒のコントラストの絶妙さ、絵がラヴクラフトに合いすぎててすごいんですよ。

よくぞここまでやってくれたというコミカライズで、ラヴクラフトファンで未読の方はぜひご一読ください。

1、魔犬 ラヴクラフト傑作集

「神殿」「魔犬」「名もなき都」の3作品がおさめられた作品。

個人的にラヴクラフト短編でかなり好きな部類に入る「神殿」があるのが嬉しい。
潜水艦内での閉塞感。そこに入り込んできた不安が彼らを破滅へと追いやるわけですが、彼らが訴えるものが妄想と言い切れないところがこの作品のポイント。そして主人公の艦長がどこまでも冷静で正気なところがむしろ怖い。

そして表題作「魔犬」。
墓荒らしに夢中になる不遜な若者ふたりが、踏み入ってはいけないところにまで手を伸ばしたことで遭遇する恐怖を描いています。

「名もなき都」は呪われた伝説の都を発見した冒険家(?)が禁忌の地で知る真実の物語。

シリーズ1作目はそれぞれの短編の毛色がまったく違うのが特徴です。ですが、ラヴクラフトの作風をガッチリ抑えたセレクトの短編なので、入門にはうってつけです。

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2、異世界の色彩

ひとつの隕石から始まる、ある一家の崩壊を描きます。

これぞSFホラーだ! と叫びたくなる1作。
農業を営むネイハムの家の畑に堕ちてきた隕石。研究者を呼んで調べてもらうのですが、その隕石は見たこともない材質でできていることが分かります。不思議な色彩を持つ隕石はまるで蒸発するように縮んでいき、最終的には消えてしまいます。
しかし、彼らを襲う恐怖はそこから始まります。

隣人のネイハムを心配するアミの視点で描かれています。
周囲の不安や心配を他所に、ネイハムが頑なにその土地に居続けるのが不思議でしたが、彼自身が一番事実から目を背けたがっていたのでしょう。じわじわと家族を崩壊へと追いつめていくものがなんなのか、計り知れないところがこの作品の魅力です。

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3、闇に這う者

「ダゴン」「闇に這う者」の2作品を収録。

強烈な印象を残す「ダゴン」。
海を漂流した男がたどり着いた異様な島で目撃したモノとは……?
短い短編ですが、ラヴクラフトの魅力がガッツリ詰まっています。1作目の「神殿」とも共通するような印象を受けますね。ラヴクラフトが描く海は計り知れない恐怖を秘めています。

そして表題作「闇を這う者」。
1作目の「魔犬」で、自分たちの興味の赴くままに墓荒らしをする若者たちを描いていますが、この「闇を這う者」もちょっとした傲慢さを持つ若者が自身の行動が招く恐怖を描いています。

作家として成功し、自分作品もチーフのために周囲の静止にもかまわず、禁忌とされる教会ヘと足を踏み入れます。
芸術家としての自分に対する自尊心が強く、どこか傲慢な印象がある主人公ですが速攻で後悔しています。冒頭で彼がたどる末路は明かされていますので、彼が何を見、何を知ったかをたどる物語となっています。

教会の中に潜むそれが登場するシーンは見開きなので、電子書籍万歳と思いました。それの造形は凄まじさが画面から溢れ出てきます。

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まだまだシリーズが続いて欲しい

コミカライズって難しくて、小説の場合、良くも悪くもイメージが個人の中でできあがります。そのせいで賛否が起きやすいものなのです。
が、しかしこのコミカライズに関しては、作者のイマジネーションが爆発しています。こちらの想像を吹っ飛ばす凄まじい画力。
1作として外さない力量はすごいです。

買って損なし。ファン必読のシリーズです。

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