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【漫画】眼球綺譚/児嶋都が描く綾辻世界。引き込まれることまちがいなし。

2017/01/19

綾辻行人のホラー短編集である眼球綺譚をホラー漫画家の児嶋都がコミカライズしました。

残念ながらすべてではないんですが、コミックオリジナルの作品も入っている上に、巻末には綾辻行人さんとの対談まであるので、かなり読み応えのある構成になっています。

綾辻行人の短編集である「眼球綺譚」のコミカライズ

眼球綺譚/原作 綾辻行人 作画 児嶋都

収録作品はこんな感じ。

  • 再生
  • 特別料理
  • 眼球綺譚
  • 鉄橋
  • 最後の記憶
  • 人間じゃない

「再生」「特別料理」「眼球綺譚」「鉄橋」の4作品は短編集収録の作品のコミカライズです。
「最後の記憶」は、原作者の綾辻行人の長編作品である「最後の記憶」の冒頭にある文章からイメージを膨らませたもので、絵本のように描かれています。
そして最後に収録の「人間じゃない」は漫画のために原作を提供された作品、ということです。なのでこの1編だけは綾辻さんの本にも収録はされていません。

お気に入りはやっぱり「特別料理」

個人的イチオシは、原作小説同様「特別料理」です。
文章と漫画でここまで違う印象になるものも珍しい。そしてそれがまったく不快ではなく、児嶋都さんのセンスが伺える一作。

いうまでもなく、あの「どーん」という波のページで一気に持っていかれるこの作品。
巻末に収録されている原作者・綾辻行人さんの解説によるとその背景に描かれているのは葛飾北斎の「富嶽三十六景」の1枚。いや、あの背景が秀逸さが作品の魅力を一気に高めたと言っても良いでしょう。

魅力はそれだけではありません。美味しそうに調理されたゴ○ブリを口にして微笑む主人公の満足げな顔や、最初は抵抗を示した奥さんが開眼してしまうコマなどを見ていると、こちらまで笑みが浮かんでしまいます。

全体的にシリアスな話が並ぶ中、この作品がいいスパイスになっています。描き方次第で嫌悪感の方が先に立つような話なのに、コミカルさで上手く緩和されています。ただその根底にあるおぞましさは揺らがないのがすごい。

ストーリーは原作とそれほど違わないのに作品の印象ががらりと変わる

原作とまた違う印象になると言うと「鉄橋」も同じです。
怪談話が引き金となる短編で、とてもシンプルな構造の話です。しかしありがちに収まらないラストシーンは必読。漫画だからで切る表現のすごさが分かりますね。

表題作の「眼球綺譚」はなかなかヘビーな原作をここまで納得のものにするというのがすごい。恐怖と美しさは表裏一体のものであるというのを実感できる作品でした。

原作ファンにもおすすめです

コミカライズに必要なアレンジや変更箇所などもありますが、それが作品を損なうということはありません。綾辻行人の「眼球綺譚」の世界の魅力を余すことなく描き出したと言っても過言ではないでしょう。
原作ファンにもお勧めできます。

不勉強ながら、この作品を知るまで児嶋都さんを知らなかったのですが、そんな人には巻末に収録されている綾辻行人さんの解説をおすすめします。児嶋都さんの絵柄についての話にも触れていますので、「あれ、この絵柄楳図かずお……?」と思った方はぜひご一読を。

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