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漫画

【漫画】緋色の囁き/綾辻行人×児嶋都再び! 全寮制お嬢様学校で起きる連続殺人

2017/01/19

綾辻行人原作のミステリーを児嶋都がコミカライズ。
全寮制のお嬢様学校を舞台に起きる猟奇的な連続殺人を描きます。どこか時代がかった設定ですが、児嶋都さんの絵柄がぴったりすぎて違和感を全く感じません。

ホラー漫画家だからこそ描けたという気もしますね。普通の少女漫画の絵柄だったら印象が全く違ってしまいそうです。

原作ファンにもおすすめできる漫画です。

あらすじ

突然今の父母は実の両親ではなく養女であることを告げられた和泉冴子。伯母の宗像千代は、冴子を宗像家の娘として迎えに来たというのです。
困惑したまま、宗像家へ引き取られることになってしまいます。学校も、千代が校長を務める全寮制の聖真女学園へと転校することになります。

規律が厳しく、古めかしく重い空気をはらむ学園での生活に不安を覚える冴子。その学園に馴染まないルームメイトの高取恵とは少しだけ打ち解けますが、彼女は自分を「魔女」だと言いあまり親しくならない方がいい、と冴子に忠告します。

翌日、その恵が特別室の浴槽で焼身自殺を図って亡くなったと朝礼で知らされるのですが……。

緋色の囁き/原作 綾辻行人 作画 児嶋都

由緒正しいお嬢様学校で起きる連続殺人

前時代的な学園のありようと、作品のテイストがぴったり

今時こんな学校あるのか、というレベルの学校が起きる事件に恐ろしく似合います。現代の日本が舞台でありながら、古典のゴシック映画のような空気が成立している希有な作品。

恵の死をきっかけに、次々と起こる連続殺人。
それは息苦しい学園の生活に混乱をまねき、少女たちは動揺するばかり。恵の死後、冴子のルームメイトになった千秋が殺され、転校生という「異物」だった冴子は一気に標的へと変化します。彼女たちの不安をぶつける相手としては格好の的だったわけです。

恵の死が自殺で処理され、不審に思う冴子でしたが、彼女に頼れる存在はこの学園にはいません。どうにもならない閉息感と不安でいっぱいになる彼女の表情は話が進むほどに暗く沈んでいきます。

教師は厳しいばかりで頼りにもならないし、友人といえる相手もいない。生徒たちは自分たちの不安を冴子に押しつけ、彼女を責めるばかり。

学園を包む閉息感は、冴子だけが感じているわけでもなかったのです。あの中で生きていくための何かのはけ口が「魔女」でありリーダーの綾ですらあのなかで耐えられない何かを抱えていたのではないかというのが伺えます。

普通の学校ならば家に帰れば学校からは解放されますが、全寮制のこの学園には逃げ場がないのですから。

舞台の特殊さはあれど、学校で起きていることはそれほど遠い話ではない

連続殺人そのものの怖さもあるのですが、生徒たちの暴走の異様さに目を引かれます。
集団心理の怖さは様々な作品で描かれていますが、「学校」「少女」という条件が加わるとよりいっそう加速度を高める気がします。この年代だからこそ成立する狭いコミュニティでの力関係も大きく関わるからです。

全寮制のお嬢様学校になんて通ったことのある人の方が少ないでしょうが、ここで行われていることは身近に感じられるはずです。

1話で退場が惜しい高取恵

みんなから「魔女」と言われる恵ですが、よくあるいじめの構図がこうなるとずいぶん印象が変わるものですね。

1話で亡くなってしまうキャラクターですが、凛とした目が印象的で、生きていたら冴子のいい友達になったんだろうなと思えてとても残念です。こんな風に感じさせる登場人物も珍しいですね。だいたいミステリの犠牲者ってあんまりいい人じゃなかったりしますから。

児嶋さんの描く恵がイメージ通りすぎてそう思っちゃうのかも。

巻末対談も読み応えあり!

原作者の綾辻行人さんがダリオ・アルジェントのサスペリアを意識して書いたのが「緋色の囁き」です。
なので本格ミステリでありながらも、ホラー色が強いのも納得な作品です。それを児嶋都さんがコミカライズするという完璧な配置。

今作では楳図かずおテイストは控えめになり、「眼球綺譚」とは絵柄が少し変わっています。絵柄が変わったのではなく、作品に合わせて楳図テイストを抑えたというのだからすごいですね。

巻末にはその辺りのお話もふまえつつの綾辻行人×児嶋都で対談が収録されています。

眼球綺譚もおすすめ

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