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漫画

【漫画】春の呪い/誰よりも大事だった妹が死に、その婚約者と付き合う姉。

2017/01/18

あらすじだけ読むとどえらく薄情なふたりの話だな……と感じられますが、想像するような内容とは毛色が大分違いました。

歪んだ形で始まるラブストーリーというところですが、そう言ってしまうには二人ともぎこちなく、ハッピーさもなければ、逆にどろどろした感情的な部分もあまり感じさせません。

あらすじ

主人公の夏美の妹の春は若くして病気で亡くなってしまいます。
妹がすべてのような人生を送ってきた夏美は喪失感でいっぱいになってしまいます。春には婚約者がいましたが、政略結婚のようなものでした。しかし、当の春はその婚約者である冬吾に好意を持っており、交際は順調だったのです。

春が亡くなったあと、夏美は冬吾から交際を申し込まれます。妹の春が亡くなったため、姉の夏美ではどうか、という話になったようです。夏美はそれを条件付きで受け入れます。
春へ対する罪悪感に苛まれながらも交際はスタートするのですが……。

春の呪い/小西明日翔

妹の死をきっかけに始まるふたりの物語

冒頭で妹が亡くなり、夏美と冬吾の交際ぶりが描かれます。

夏美は妹がすべてのような人生を送っており、春が亡くなった後のことなんて考えてもいませんでした。父と義母、そして弟がいますが、彼女にとっては春が心の支えてと言っても過言ではない状態です。
病弱な妹を支える姉、という美談のような状況でしたが、実際は夏美の方が春に依存していたようなものです。
それは冬吾の登場で夏美をじわじわと苦しめます。しかしそれも長くは続きません。春が亡くなったからです。

妹と婚約していたが、亡くなったので今度は姉

クソみたいな話です。実際作中でも鬼畜生と書かれています。
しかし始まった交際は、春を挟んだ3作関係のよう。夏美が交際を承諾する変わりに付けた条件が「春と行ったことがある場所に連れて行って欲しい」だったのですから当然です。

夏美の内側と外側の落差

人間誰しも内面と外に向けての顔は違うものです。
夏美はそれがとても極端です。

内面のどろどろとした感情。
妹に向ける愛情とも執着ともとれる行動。
そして、外部に向けた「明るい姉」という擬態。

妹の死でそれが顕著になっています。
さらに冬吾と付き合うことで、罪悪感もくわわり、もはや彼女の本心は一体どこにあるのかわからなくなってきます。

春の婚約者だった冬吾

一方、冬吾はと言うと、堅苦しい上流階級の家庭に生まれ、自分の人生に自由がないことに諦めている印象。
春との縁談も親が決めたことで、彼に拒否する理由はありませんでした。しかし、彼はむしろ同席していた夏美に興味を抱きます。春の見舞いに行った時に初めてまともに夏美と会話をするのですが、そこで彼は春とは違う感覚を覚えるのです。

夏美に対する想いはあるものの、ふたりの間にはどっかりと春の存在があります。冬吾もそれを承知で夏美に交際を申し込んでいます。

続きが楽しみな漫画。どう着地するのかが読めない。

まったく通じ合わないふたりが、どうしようもない罪悪感を抱えながら共犯関係のようになっていて、気付いた時にはガッツリ話に引き込まれてしまっていました。

これでメロドマラ的な展開をするのなら、ありがちな話になるんでしょうが、どうもそういう雰囲気ではありません。
亡くなってもなお、妹に対し尋常ではない執着を持つ夏美がここからどうなっていくのかが気になります。

進展しそうな関係でありながらも、タイトル通り「呪い」のように妹の存在がある。
しかしその妹こそが、ふたりを繋ぐものなのです。

夏美の家族との関係性も今後絡んできそうですし、冬吾も母親の支配から抜けられるのかっていう部分も気になったりして、とても続きが楽しみな漫画です。

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