つぶらいん

本や映画のレビューを中心にしつつ、ぼっち&出不精生活を満喫する管理人の日常のブログです

漫画

【漫画】ギョ/魚が陸を歩行する⁈ どんどんエスカレートする状況についていけるか?

2017/01/18

魚が歩いて海から上がる? 謎の進化か生物兵器か? この強烈な表紙、読みたくなりますよね。買うしかない。当時書店で見つけて息レジに持っていった思い出。

ホラーなのかギャグなのか。登場人物たちはいたって真面目、誰もふざけていません。謎の展開をしまくる伊藤潤二の長編漫画です。

カップルが旅行中に遭遇した謎の生き物。
異様な臭気を漂わせカサコソと走り回るそれは、魚に足が生えたような見た目です。
そのルックスは表紙にバッチリ載っています。

あらすじ

恋人の華織と一緒に沖縄旅行に来た忠。ダイビング中、高速で泳ぐ謎の生き物に遭遇しますが、早すぎてそれが何かは確認できませんでした。
その日の夜、喧嘩をして飛び出した華織を探しに外に出ると、異様な臭いがしてきます。無事に華織を見つけますが、その周囲を何かが高速で走り回っていました。
何かが腐ったような臭いは、別荘に戻っても続き仕方なく忠は消臭スプレーを買いに出かけます。
華織は臭いに耐えられず何度もシャワーを浴びますが、どんどん強くなるばかり。

忠が買い物から戻ると、華織はリビングで失神しています。部屋の臭いは外よりも強く、あまりの臭気に気が遠くなってくるほど。物音ををたどり、2階に向かうと、やはり何かが部屋の中にいます。棚の影に入ったところを狙って押しつぶすと、そこにあったのは魚に足がついたような奇妙な生き物だったのです。

ギョ/伊藤潤二

 

この作者の本ですから、一筋縄でいくわけがありません

謎の生物との攻防を繰り広げた沖縄から帰った主人公たちですが、残念ながら彼らの魔の手は沖縄止まりではなかったのです。
全国へと広がる足の生えた魚たちの進行。景気よく拡大していく被害状況に「ああ、伊藤潤二だ……」と感動すら覚えます。うずまきのクライマックスを思い出しますね。

海洋生物たちに足が生えているのはまだ序の口です。この作品のおぞましさの本領が発揮されるのは2巻から。
変貌してしまった華織と、彼女を助けようと奮闘する忠。あんなにクソわがままだった華織をあんなことになっても必死に守ろうとする忠の姿に感動を覚えます。

個性的すぎる登場人物たち

主人公の忠は一見普通。ですが、彼の華織への愛情はすごいです。あんな姿に変貌し、とんでもない改造を施されてもなお、華織を華織として見ているのです。彼女を助けたいという、大変シンプルな想いがとても強い。「スゲーよお前……」と肩を叩いてやりたくなりますね。

恋人の華織は、潔癖性気味(?)で魚の放つ臭気にとても敏感です。そのせいか、魚も妙に華織に執着しているような。飛んでくる膨らんだビニールに思わず笑いがこぼれます。華織は必死だけど。
最初の方はうるさい女だなー別れちゃえ、とか思ってましたが、なんか……うん、忠はいいやつだったね。

そして忠のおじさんの小柳先生。
怪しげな研究をしているおじさんはやっぱり怪しかった! マッドサイエンティストそのものです。血も涙もありません。
でもおじさんのおかげで、魚たちのアレがなんなのかちょっと分かったからありがたく思います。

おじさんの助手の芳山さんはいたってまとも。大変な目にあってとても気の毒。

夏におすすめの1作

見所のひとつに歩行サメがいます。
探せば洋画にありそうなルックスです。しかし陸を歩行するサメの素敵なビジュアル。このフィギュア欲しいなぁ。誰か作って!
この1体で映画ひとつ作れそうな題材ですが、そこで収まるはずがないのがこの作者です。

伊藤潤二さんのすごいところは、最初のインパクトでぐっと掴まれるところもそうですが、そこからどんどん話がこちらの理解の範疇を越えて広がり続けるところです。2巻目の展開を誰が予測したでしょうか。

もう誰も得しねーよ、という博士の研究。そして意味の分からないサーカス……。読み手すら混乱にぶち込むすごい作品です。

2巻目には特別収録で短編も収録されています。

大黒柱悲話
阿彌殻断層の怪

この2本です。
「大黒柱悲話」はなんの説明も解説もなく、すごい状況で始まって終わる数ページの短編です。むちゃくちゃだけどなんか納得しちゃう不思議。

「阿彌殻断層の怪」は、自身で現れた断層に無数の人間の形をした穴があいているのが見つかる話。
この結末は好きだー。こういうの大好きだー。短編の面白さはこういうところです。アレが出てきたときどうなるのかとか、妄想が広がります。

-, 漫画
-,