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【映画】セブン/「七つの大罪」になぞらえた連続猟奇殺人事件。理解を超えた犯人像に頭を悩ませる。

2017/01/18

デヴィッド・フィンチャー監督作品。
七つの大罪になぞらえて起きる猟奇殺人を捜査する刑事たちの姿を描きます。衝撃なエンディングが有名ですよね。犯人の扱いも独特で、「誰が犯人か」を考える話ではなく、登場人物たちと一緒になって翻弄されるタイプのストーリーです。

あらすじ

引退まで残り7日のベテラン刑事サマセット。巨漢の男がスパゲティに顔を突っ込んで死んでいた事件を新任のミルズとともに担当することになります。被害者は椅子に縛られ、死ぬまで無理矢理食べさせられ続けていました。
野心家のミルズは、異様な事件にはりきっていますが、サマセットは引退間近の自分が担当する事件ではないと考えますが、信頼の厚い彼は外されることはありませんでした。

サマセットは被害者の胃の内容物にあった証拠から、被害者の家の冷蔵庫の裏に「GLUTTONY」(暴食)と書かれているのを発見します。そしてそこにはもうひとつの言葉がありました。「地獄より光に至る道は長く険しい」。

一方ミルズは弁護士が殺された事件野の担当になります。そこには「GREED」(強欲)と血で文字が残されていました。
サマセットは犯人が「七つの大罪」になぞらえて殺人を犯していると考えます。つまりそれはまだ5つの事件が起きることを示唆しており……。

セブン

1995年 アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:モーガン・フリーマン、ブラッド・ピット、グウィネス・パルトロウ

キリスト教の七つの大罪になぞらえて起きる殺人事件

日本人にはなじみの薄い宗教色の強い話きたか?! と思ってたら、なんのことはない。ブラッド・ピット演じるミルズ刑事もその辺が疎いようで安心しました。おかげでちゃんと話の中で解説してくれます。上手いのはそれがつまらないうんちくになっていないことです。

こっちがあれこれ悩む前にどんどん事件が起きるので、そんな暇ないんですけどね。

ちなみに、七つの大罪とは「GLUTTONY(暴食)」「GREED(強欲)」「SLOTH(怠惰)」「LUST(肉欲)」「PRIDE(高慢)」「ENVY(嫉妬)」「WRATH(憤怒)」。

日本人だと鋼の錬金術師でおなじみの言葉。七つの大罪はいろんな物語で引用されているので、割と取っ付きやすくはあります。

犯人の手口は抜かりないもので、見つかる手がかりは意図的に残したものばかり。証拠を調査し、資料を見直し、手がかりを探しますが、後手に回るしかないサマセットとミルズ。

サスペンス映画は数多くありますが、やはり抜きん出て異常で、犯人が不気味なのがこの映画です。
結末はとても印象に残るもので、まだ観ていない人には、忘れられない作品になるでしょう。

都会の絶望感が詰まっている

薄暗く、騒々しくて、危険。
都会の暗い部分を集めたかのような都市が舞台です。見落としていなければ、映画の中で土地の名前が出てきていません。

事件の多い土地ならば、刑事としてのステイタスを上げられる、そう考えてミルズは移動してきたようです。しかし、愛する奥さんはあまり積極的ではない様子。新しい土地が、という問題ではなく、この町のありようがどうにも受け入れられないようです。だからこそ、子どもができてもミルズには言えずに、知り合ったばかりのサマセットに相談するのです。

そこで語るサマセットの話は興味深いですね。
子どもが欲しくなかったわけではないけれど、自分はこの町で子どもを育てられないと考えた、と話す彼の決断は重いものでした。

日々事件に接する彼だから、直のこと感じられる部分だったと思います。冒頭で、別の事件の現場で「子どもは遺体を見ただろうか」と問う彼に同僚の刑事は「そんなのは知ったことか」と言い切ります。子どもが親の遺体を見たかどうかなど、刑事が考慮することではない、ということです。

こういう背景を理解すればするほど、犯人が語ることに説得力が増してゆくのです。

しかし映像は、映し出される絶望的なもの(事件の現場など)に対し、不思議な美しさの余韻を残します。

常に雨が降っていてくすんだような風景。薄暗く、古い設備の警察署。地下鉄が走ると揺れるミルズの家。秩序正しくも寂しげなサマセットの家。この映画を構築する世界の映像は陰鬱でありながらも、見るものを引きつける力がありました。

ストーリーの衝撃もありますが、この映画が長く評価されているのも絶妙な色使いがあったからではないでしょうか。

野心あふれるミルズと、引退寸前の老練な刑事のサマセット

ミルズは、若いということもありやる気にあふれ、常に前のめりな印象です。
感情的で考えなし。思ったことをすぐ口にするというなかなか直接的で子どもっぽい性格です。サマセットと組み合わせてちょうどいいぐらいで、まだまだ若造。ブラピも若い。

サスペンスドラマを見ていると、引退寸前の刑事はあまり良い描き方をされていません。引退前はもう辞めることに頭が行っているので、操作が手抜きになりがちです。
しかし、このサマセットは自身の仕事に常にベストを尽くすタイプ。最後まで事件に手は抜きません。

このミルズとサマセットの組み合わせが面白い。
最初はあんまりウマが合わないのかな、と思わせますがだんだんとほぐれていく過程がいいですね。指紋の照合を待つ間ソファで眠るのですが、最終的に寄り添って寝てるのが親子みたいで微笑ましいです。飛び起きてばつが悪そうに頭を払うブラピがかわいいですな。

定期的に観てしまう映画

わたしはすでに何度目かの鑑賞なのですが、あらためて観るたびに、絶望的な気分を味わいます。
ストーリーを把握してからだと、登場人物たちを見る目も変わり、映画に仕掛けられたものを見つけることができます。1度観るだけではなく、そういう楽しみ方をしてみてもいいと思います。

キリスト教とか、聖書に関してもうちょっと知識があるとまた理解が深まるんでしょうが……さすがにそれはハードルが高いですね。

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