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【映画】第9地区/地球にエイリアンたちが暮らす居住区があったら……?

2016/12/12

すごいすごいとは聞いていましたが、いやー面白かった!

冒頭で状況を軽く説明されるのですが、その軽い説明の内容がむちゃくちゃすぎてビックリします。
宇宙船がきたものの、エイリアンたちはその船内で衰弱。やむなく救助したら地球に居着いて問題が起きて大変! ってどういうことだよ。
そのエイリアンたちの習性がひどくて、ネコ缶に目がないとか、微妙に馬鹿だったりとか、居住区がスラム化してナイジェリアのギャングと妙な共生状態になっていたりして、すごく変!

これまで観ていなかったことをめちゃくちゃ後悔しました。ヘンテコな設定にがっつり持っていかれます!

あらすじ

アフリカのヨハネスブルク上空に突如現れた宇宙船。内部を探査すると、そこには大量のエイリアンが潜んでいました。彼らは衰弱していたため、救助活動を行い、ヨハネスブルクの一画を彼らの避難区域として定めます。
それから20年。

第9地区と呼ばれるその区域はスラム化し、エイリアンたちの他にナイジェリア人のギャングが住みついています。
エイリアンたちはその見た目から「エビ」と呼ばれ蔑まれていました。エイリアンたちの知能は低く、街中に現れ問題を起こすこともあって地域住民はよく思っていません。

そしてその第9地区の移設が決定します。
しかし移住にはエイリアンたちの同意が必要となります。そのため、政府はMNUにその業務を委託します。責任者に任命されたのはMNUのエイリアン対策課のヴィカス。彼は重大な任務に張り切り、撮影隊や兵士たちと第9地区へと向かうのですが、移設計画はそう容易ではありませんでした。

第9地区

2009年 アメリカ
監督:ニール・ブロムガンプ
出演:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ

※ネタバレあります。注意!

冒頭でガッチリ掴まれる!

 

言葉は通じるとはいえ、そのエイリアンに移住のための同意のサインをもらいに行くのです。
エイリアンにサインをもらいに行く……。どういう世界だよ……。

エイリアンたちとはちゃんとコミュニケーションが取れるのがすごい。言葉が通じてて話をしてるのは最初見た時はちょっと笑ってしまいました。すごいシュールな図だった。

こう書いているとどうにもトンデモなコメディ映画かって感じですが、展開は大変まじめです。
最初の数十分でどういう状況なのかをきっちり理解させてくれる親切設計。世界観の理解に頭を悩ます心配はありません。

ストーリー展開やエイリアンの存在などに大分隠喩を含んでいるようですけど、まぁその辺理解していなくても楽しい映画ですのでご心配なく。

とっても一般人な主人公ヴィカス

主人公のヴィカスはMNUの人間で、小役人といった風情です。重大な任務の責任者を任されて張り切っていますが、イマイチ適任とも思えない振る舞いが多いです。
簡単に言うと、とても一般人。

エイリアンたちに対しても、多少礼儀を持って接するそぶりを見せますが、決して友好的ではありません。彼自身もエイリアンを邪魔な者として捕らえているため、彼らの卵を処分したりします。それも喜々として。
しかし彼の姿は、ごく一般的な反応らしいです。

小役人でありながらも多少は善良、でも割と自己中心的。
ヴィカスの人間像はこんなところでしょうか。彼の言動はあまり好感を抱けるタイプのものではなく、半分ぐらいはイライラさせられます。しかし、だからといって感情移入できないというわけではありません。

どこにでもいそうな、フツーの人。あまりにもフツー。物語の主人公になるタイプではまったくないのです。
絶望的に追い込まれて行く彼の姿は一般人だからこその共感を覚えるのです。

うっかりエイリアンに変化してしまう謎の液体を浴びてしまったばっかりに、人生が一変するのです。
彼の望みは、元の姿に戻って愛する妻とまた一緒に暮らすこと。大変シンプルながら、とてもハードルが高い。彼がすがるように何度も妻に電話をするのも、唯一の希望が彼女だからです。電話なんかしたら居場所掴まれるだろう、と誰しも突っ込んだであろうことですが、でも彼は電話をかけずにはいられないのです。

泣けてくるじゃないか。

ヴィカスを追う人々

ヴィカスの義理の父親は彼が所属するMNUのお偉いさん。今回のヴィカスの抜擢もいわばコネみたい。
しかし、義理の父親は娘婿にそこまで愛情はないようです。というか無慈悲に実験動物扱いです。

MNUに捕らえられたヴィカスを囲んで、「貴重だから解体して保存しよう」ミーティングをするシーンは笑っちゃいました。無慈悲にGOサインを出すお義父さん。もう愕然ですよね。そりゃ逃げるってば。

MNUは仕事にかこつけてエイリアンの武器を回収保管しています。もちろんそれは研究のため。卓越した技術力を持つエイリアンたちの武器は、地球上にはない威力を持っていますが、ひとつだけ問題がありました。それは、彼らのDNAに反応するため、人間では使用ができないのです。

しかしヴィカスはその条件をクリアしているのです。人間の意思を持ち、エイリアンの武器を操れる唯一の存在。そりゃもう貴重。

そしてヴィカスを追うもうひとつの集団がいます。
それがエイリアンと共生しているナイジェリアのギャングたち。

共生はしていますが、彼らにも目的があります。
ギャングたちもエイリアンの武器を集めており、彼らから買い取っているのです。時には大好物のネコ缶と交換してやることもあります。しかしそうして集めた武器も、彼らには使えません。

リーダーのオビサンジョは足が不自由です。彼の目的はエイリアンと同じ体になること。呪術的なものを信仰しており、時には武器を売りにきたエイリアンを捕らえて食べているのです。食べることで彼らの力を吸収し、同じ体になれると信じているのです。
しかし、そう簡単にはいきません。

しかし、そこにヴィカスが現れるのです。

結果MNU、ギャングたち両方からヴィカスは狙われることになります。

ヴィカスを助けるエイリアン、クリストファー

ヴィカスよりもこのクリストファーの方が映画で言うとヒーロータイプです。
エイリアンの中でも飛び抜けて知的かつ紳士的。彼は20年経った今でも母星へ帰るための準備をしています。20年かけて集めた燃料を武器と勘違いしたヴィカスが没収。とんだとばっちりです。まぁその液体を浴びたヴィカスは宇宙人へと変身しかけているのだから、ちょっとは同情しますけどね。

色々ありまして、ヴィカスとクリストファーはふたりでMNUに乗り込んで燃料を取り戻すことに。もちろん戦闘のプロではないふたりなので、計画性も皆無な正面突破。とにかく武器の乱射のみ、という粗い戦法です。

燃料を取り戻したものの、人間が行っていた自分たちを対象にした実験を目の当たりにして呆然とするクリストファー。
彼らエイリアンを蔑んでいる人間たちですが、行っていることの非道さは人間の方が上です。ヴィカスがされた実験や、彼の追跡の経緯を考えても、けだものはどちらなのか、答えは明白に思いました。

ヴィカスとクリストファーの関係

協力関係にあるふたりですが、そこまで絆は強くありません。
なんとか脱出して戻ったものの、仲間の惨状を目の当たりにしたクリストファーが仲間を助けるのを優先しようとしたからです。
とにかく人間に戻りたいヴィカスはクリストファーを置いて自分だけで船へ戻ろうとします。

なんかもうこの辺で、ヴィカスに関しては「あーもう暴走して……」みたいな感じで、馬鹿な行動だけどしょうがないって気持ちになってきます。普通の映画なら、ふたりで脱出、バンザーイですが、この映画に関してはどんなバッドエンドもありえるなーとこの辺で思い始めます。

ここから先がたいへんに胸熱な展開なのです!
ギャングたちにつかまり、今度こそ解体されかけるヴィカスですが、ギャングのところにあった戦闘用のメカに乗り込んで蹴散らして逃げようとします。そこで目に入ったのが拘束され殺されかかっているクリストファー。
1度は背を向けたヴィカスが、ここでようやく、それはダメだと気がつくのです。

この後どうなっただろうか、と考えずにはいられないエンディング

クリストファーは母星へと帰り、それからまた3年が経ちました。
相変わらずエイリアンたちと人間たちとの間には問題が山積みです。宇宙船が去っても何も変わっていないかのようです。
映画の結末も、この先ヴィカスが元の姿に戻ることができるのかどうかには触れられてはいません。クリストファーが戻ってくる気配すらも見せません。人間に戻ったところで、ヴィカスがまともな生活を送れるかどうかもわからないのです。

でも3年で戻ると繰り返していたクリストファーの言葉は信じられる気がするんですよね。
まだ諦めていない様子のヴィカスの姿を映して映画は終わります。

荒唐無稽でバンバン人が死んで、人間の嫌な面を山ほど見せられます。
でも不思議と、観終わった後にはさわやかな希望を感じるのです。

ああこの映画、大好き。

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