つぶらいん

本や映画のレビューを中心にしつつ、ぼっち&出不精生活を満喫する管理人の日常のブログです

映画 洋画

【映画】ダークネス/40年前の日食の日、6人の子供が消えた。

2016/12/12

隠れた名作扱いなんでしょうか。

レンタル店ではなかなか見つからずお取り寄せしてもらいました。
新居へ引っ越してきた家族に降りかかる思いがけない災いを描いています。1人家族のために奮闘する主人公ですが、家族になかなか理解されないのが悲しい。状況が悪化していく様子にいたたまれなくなります。

じわじわと迫る不安な影に引き込まれる映画です。

あらすじ

アメリカから父親の故郷であるスペインへ引っ越してきた一家。長女のレジーナはアメリカでの生活に未練があり、できれば戻りたいと考えています。

引っ越してきてから、弟のポールの元気がなく、暗闇を怖がるようになります。
父親には持病があり、ある日ポールを学校に送っていく途中、過去のフラッシュバックとともに発作が起こってしまいます。それ以降、父親は不可解な言動を取るようになり、感情の制御も効かなくなってしまいます。

レジーナは引っ越して以降、家族がおかしくなっていることに気付き、この家の来歴を調べるのですが……。

ダークネス

2002年 スペイン・アメリカ
監督:ジャウマ・バラゲロ
出演:アンナ・パキン、レナ・オリン、イアン・グレン、ジャンカルロ・ジャンニーニ

※ネタバレ注意

40年前の事件がどう「今」に絡んでくるのか

周到に練られたプロットです。
40年前に起きた事件を発端にしており、冒頭惨劇から逃れた子供が大人(刑事?)から質問されているところから始まります。惨劇を予感させるフラッシュバックのような映像が随所に挟まっており、早々にこの家がそこで語られた40年前の事件の現場であることが察せられます。

父と息子が乗っている車では日食についてのニュースが流れており、ストーリーは曜日をカウントして進んでいきます。
これがじつは重要な事なのだと後々気付くことになります。

少ない登場人物で効率的にプロットを動かしています。

母と娘の噛み合なさに悲しみが増す

レジーナは引っ越した直後から、この家の不穏さ、弟の変化に気付き、頻繁に母親であるメアリーに訴えています。
しかしメアリーは自身の不安をかき消したいかのように、レジーナを冷たくあしらいます。

レジーナが弟をとても大事に思っているのはとても伝わってきます。
しかし原因不明の怪我をするポールに対して、大人たちは「気を引くために自分でやっているんだろう」と判断してしまうのです。医者である祖父にみてもらうのも、レジーナが何度も訴えてようやくです。しかもメアリーはそんなレジーナに対し、逆切れとも言える態度を取り続けるのです。

家族を愛しているのは確かなのに、どうにも噛み合ないこの母親と娘のやりとりは観ていてつらくなりますね。

父親のマークの様子のおかしさもおそらくは気付いていたのだと思います。
不安を訴えるレジーナは見たくないものを見ろと突きつけてくる相手だったのではないでしょうか。引っ越しの後のやりとりでも、レジーナに対してだけみんなが引っ越しの作業を手伝わない不満をこぼしています。

夫を愛していても、持病の発作に対する不安は消えません。看護士ですから、ある程度の知識はあるでしょう。根っこには不安があり、引っ越したことで「きっと良くなる」と思いたいのです。

だから終始不安を訴えるレジーナに対して「わたしはがんばってるのになんでそんな事言うの?」という感情が働いてしますのです。

祖父の抱える罪深い闇

黒幕だった祖父が前回の失敗は自分のせいだと語ります。
ルールは分かりやすく、「子供を愛するものがその喉をかき切らねばならない」です。

前回、息子を愛していないことに気がつき自ら実験を途中で止めてしまいました。これは彼がこの先自分の息子であるマークを愛してくれる存在が現れるのを狙ってこのことです。最初は妻であるメアリーがそれをやってくれるだろうと、レジーナを足止めします。
しかし、レジーナの父への愛情が本物だと確信したところで、彼女を解放するのです。

この急変ぶりは、一瞬よく分かりません。監禁していた本人がなぜ急に解放して家へ急げというのか。
それはレジーナの手で父の喉を切り裂かせようという考えです。あの家に着いてしまえば、メアリーでもレジーナでも「闇」が上手く誘導してくれるだろうということです。いわば保険。

最終的に、彼らは目的を達成し、全員闇に飲込まれてしまいます。

祖父であるアルベルトは、一体何が目的だったのでしょうか。科学的探究心から始まった実験は、40年もの時を経て沢山の命をかけて行われました。状況からも、それが達成した暁には一体何が起こるのか分かったものではありません。
闇を解放したアルベルト自身、生きていられるかも分からないのです。

それでも突き進むのは単純な動機に感じられました。

ただ、どうなるか見てみたかっただけ

究極にエゴイスティックな話ですが、実の息子や家族にすら愛情を抱けなかった彼の考えそうなことです。

あの結末では解放された闇が世界をどう包むのか、彼らはどうなってしまったのかは分かりません。

果たして闇は単純に飲込んだ人を殺してしまうだけなのか? こちらは想像するしかないのです。

7日間のカウントダウンもありますし、聖書的な色々が絡んでいる話のようで、そこの知識が大分薄いわたしには理解が及ばない部分も多いです。
その辺のストーリーのバックボーンが分かれば、より楽しめたと思うので、ちょっと残念。

RECシリーズでおなじみのジャウマ・バラゲロ監督の作品

RECについて調べていた時に知って驚きました。大分前に観た映画だったのですが、妙に印象に残っていたんですよね。

カメラワークはさすがというところで、家に住む家族以外の人たちの存在をじんわりと映し出したり、過去とのフラッシュバックでこの家の異様さに気付かせたりと、仕掛けがたっぷりです。

舞台となる家や祖父の家など、建物も印象的。背景に目を剥けても楽しい映画だと思います。
多少の流血はありますが、どちらかと言うと心理的不安を煽る映像が多いです。
RECみたいな映画を撮った人がこういう作品を作っていたことにちょっと意外性を感じます。もちろん良い意味で。

ジャウマ・バラゲロ監督と言えばREC!

-映画, 洋画