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【映画】パンズ・ラビリンス/ジャケットに騙されるな! ダークな成分が多すぎるファンタジー映画

2016/12/01

このパッケージに騙されて大事故を起こした人が多発した作品です。分かる人はギレルモ・デル・トロ監督な時点で警戒するんですが、予備知識なく手にとると思いがけないグロにかなりの打撃をうけるでしょう。

パンズ・ラビリンス

2006年 メキシコ、スペイン、アメリカ
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケーロ、ダグ・ジョーンズ、セルジ・ロペス

※ネタバレ注意!

あらすじ

内線で父を亡くしたオフェリアは再婚相手である軍の大尉の元へとやってきます。母は大尉の子供を妊娠中で、連れ子であるオフェリアには見向きもしません。
居場所のないオフェリアに唯一優しくしてくれるのは、家政婦のメルセデスだけ。しかし、彼女は大尉が率いる軍と闘うレジスタンスのスパイなのです。

厳しい現実に置かれるオフェリアでしたが、彼女の元に「王国」からの使者が訪れます。

惨すぎる現実がキョーレツ

なかなか厳しい義父のもとへ母とともにやってきたオフェリア。子供なのでイマイチ空気を読んだ対応ができずに義父である大尉からは邪魔にされています。まぁ彼の目的は母ですし、自分の子供を求めているので、オフェリアは単なるオマケもしくはお荷物なんですよね。

彼女の救いは家の使用人のメルセデス。彼女は優しくオフェリアを気遣ってくれますが、実は大尉に対抗する組織のスパイ。

母は優しいものの、大尉の顔色をうかがってばかり。優しく気遣ってくれるのはいわば敵側の人間だけというのが皮肉です。

オフェリアの行動はあたりまえの子供の姿

あまり賢いとも言えない行動が多いオフェリア。
子供だからしかたがないといえばそうですが、王国へ行くための試練に対してもいまひとつ真剣味が欠けます。第2の試練のくだりとか、なんで食った?
本気でここから脱したいと思ってる?と感じることも多いんですよね。

そういう意味で、よくいるいい子ちゃん映画ではありません。
彼女の行動に解きにイラつき、自分自身で状況を悪化させてしまうこともあり、逆にリアルに不安定な子供の姿を描いています。

あの結末をどう解釈するか

普通の映画だと、最後に彼女は救われるエンディングなんでしょうが、ギリギリのところで助からない、という悲劇的な結末です。
しかし彼女の魂は、自分が本当にいるべき世界へとたどりきましたとさ、めでたしめでたし……と一瞬思うんですが、本当にそうなのでしょうか。

現実世界は確かに余りにも過酷ですが、オフィリアに課された試練もなかなかのものでした。それにむこうの世界のグロテスクさは少々気になるところですね。ホントにいいところか……?と無粋な勘ぐりをしてしまったりして。

果たして王国は本当に存在したのか

パンを始めとするその世界は果たしてオフェリアの空想なのか現実なのか、というのはそれぞれに考えるところでしょうが、個人的には空想説の方を押したいところ。
試練に臨み、現実から脱したいと考える彼女にとって、自分にとって本当の世界があるはず、というのは唯一の救いであり頼みの綱のようなもの。

つらすぎる現実をリアルにがっちりと時間をかけて描いているのは、オフェリアがなぜ別の世界を必要としたのかを理解するためでもあるのではないでしょうか。
厳しい試練も、挑戦すれば乗り越えることができるかもしれないものです。しかし、目の前の現実は彼女の努力やがんばりとは裏腹に悪くなる一方。子供のオフェリアにはどうすることもできないもので埋め尽くされているのです。

最後の試練とラストシーンの疑問

最終試練は弟を殺すことでしたが、彼女はそれを拒みました。なぜ果たすことができない試練を自ら課すのか、という疑問がわきますが、生きたままでは行けない場所(オフェリアの空想)と考えると、達成しても王国には行けないのですから当然でしょう。

もし彼女が生きたまま物語を終えるのであれば、「試練を全うしなかったためにつらい現実に残された王女」ということになります。しかし大尉がオフェリアを追っていたため、彼女は自分の望む本当の世界へと行くことができたのです。死に行く自分に最後の救いを自ら与えたとも考えられます。

試練をクリアしていないのでは?と思うのですが、最後の試練は弟を殺すことを拒むことだった、とも考えられるます。最後に王女としての資質を試されたわけです。

ジャケットに騙されると酷い目に遭う映画

このジャケットでこの内容ってすごいギャップですよね。
わたしは前評判を聞いていたので分かっていましたが、「不思議の国のアリス」的なファンタジーを想像して観に言って大事故起こしてる人をよく目にしました。

このジャケットであんな恐ろしげな生き物が出てくるなんて思わないし、大尉が顔をハサミで切られるシーンとかもう呆然ですよね。子供もギャン泣きするし、夢に出てくるわ……。

だがこういうギャップは嫌いじゃないのがわたし。そこは個人の趣味の問題です。
グロテスク描写は慣れの問題もありますので、事故に遭われた方は本当に御愁傷様ですとしか言いようがありませんね。

レンタル店でもジャンルはファンタジーに分類されています。ハリー・ポッターの横にあると誤解がさらに深まる映画です。

このポスター採用した人が確信犯なんだったらなかなか邪悪な心の持ち主ですね!

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