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【映画】リング0 バースデイ/貞子の呪いの始まりを描く

2016/12/01

日本を代表するホラー・ヒロイン貞子がいかにしてあの井戸に至ったかを描く作品。
主役はもちろん貞子。容赦なく人を呪い殺しまくる彼女のイメージが強い分、この作品の弱々しい貞子のギャップが激しく戸惑うこと間違いなし。貞子は原作とはかなりキャラが変わっていて、ガッツリ悲劇のヒロインやってます。

リング0 バースデイ

2000年 日本
監督:鶴田法男
出演:仲間由紀恵、田辺誠一、麻生久美子、田中好子

※ネタバレ注意

あらすじ

呪いのビデオが表に出る30年前、山村貞子の行方を探す女性記者が彼女の故郷を訪れます。しかし、父親に引き取られた彼女のその後はわからないままです。

貞子は東京で劇団に所属するようになり、不安定だった精神状態が少しずつ改善していきます。
しかし、劇団の主演女優の愛子は貞子の後ろに妙なものを見るようになります。井戸が出てくる奇妙な夢もみていた彼女は、稽古中に亡くなってしまいました。彼女の死で動揺する中、貞子は彼女の代役として抜擢されます。

貞子が入ったことによって崩壊していく劇団

主演女優が稽古中に死亡したことで主役へと抜擢された貞子。
演出家の重森は下心ムンムンで貞子の家へ押しかけます。おそらくは関係を強要したと思われ、その後の顛末も同情心など微塵も湧きません。エロ中年滅べ。

貞子と相思相愛な遠山ですが、愛の力でどうにかなる話ではありません。リングの発端となる話ですから、彼女の末路はご存知の通りなわけです。
邪魔な演出家を事故とはいえぶっ殺し、初日の幕が開く前に愛を語り合う2人にお寒いものを感じるのはわたしだけでしょうか。

純愛を貫こうとする貞子と分離したもうひとりの存在

同情する面はあるものの、俯いてシクシク泣いてるばっかりの貞子はちょっとねー。遠山的に庇護欲刺激される人もいるでしょうけど、貞子ちゃんの生きることへの欲望はすごいと思うんですよ。

あれだけ人を死なせて、自分の中に得体の知れないものを持っているのを分かっていながら、最後まであんなにあがくんだから相当なものです。
か弱くて人を癒す能力がある善なる貞子と、思うままに人を殺す悪の貞子、と分かれているようですが、根っこの部分は繋がっているようで、表に出ているか弱い貞子のために、もうひとりの貞子が手を打っているようにも思えます。

2つに分かれた、と伊熊博士は話していましたが、実際のところ密接になつながりを持った状態。
表に出ている貞子の感情が往々にして作用しているようですから、もうひとりの方が貞子の持っているちょっとした願望を読み取っているところもあるのではないでしょうか。

こ、怖くない……!

この映画の致命的な部分は「全然怖くない」ところです。

終始メソメソして俯いている貞子にも感情移入しようがなく、自分の中のモンスターに怯えるのも中途半端。
貞子を主人公に据えるのなら、もっと葛藤を持たせて欲しかった。泣いてるだけの女は鬱陶しい。この女はフルパワーだと皆殺し余裕なんだぜ……。

最後の連続呪殺シーンが見所なのかもしれませんが、悲鳴を上げてバターン!、悲鳴を上げてバターン!、の連続なので恐怖感イマイチ。

彰子の最期はプライドを感じます。婚約者を殺され、復讐だけを考えて生きてきた彼女は、「貞子に殺される」のだけは避けたのです。
彼女の持つ執念は、貞子にとって不幸をもたらすものでしかありませんでしたが、理解できる姿でした。

危機的状況でギャン泣きする女は置いて行け

最後の最後でイライラするのは麻生久美子演じる悦子。

ただでさえ貞子のメソメソでストレスが溜まるのに、パニックになってギャン泣きしてうずくまるっていう……。ホラー映画でやっちゃ行けない女の行動第1位ですよ。

彼女のキャラクターは大変人間的です。
最初は貞子に優しくて、その後恋敵と知るや嫉妬も手伝って貞子を嗅ぎ回り、あげく彰子に利用される。
最後は自分のやったことの罪悪感もあり、遠山と貞子を見逃すものの呪いからは逃げられないわけです。

くるんくるんひっくり返る彼女の手のひらになんだか苦笑いしか浮かびません。これだったら最後まで一貫している彰子の方がずっと潔い。

イメージとのズレが酷くて「貞子……?」と思う

結局のところ、貞子像が作品ごとにブレッブレなんですよね。
リングとらせんは同時公開ということもあって、きっちり繋げていますが、それ以外がよく分からない。

リング0は誕生秘話なので、主役が貞子なのもわかります。あの呪いが産まれる過程を描くのに、彼女を主人公に据えるのもわかるんですが、それが失敗だった気がしますね。

元が短編小説で遠山が主人公の話らしいですが、ホントいっそ遠山目線か、復讐に燃える彰子視点にしても良かったんじゃないでしょうか。

モンスターの悲哀は感じますが、上に書いた生への執着の強さが滲み出てて、悲劇という印象が薄かったです。

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