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【映画】ヴィジット/初めて会った祖父母はどこかおかしい?! 初対面の親戚には気をつけろ。

2016/11/30

M・ナイト・シャマラン監督作品。初対面の祖父母のもとにやってきた姉弟がそこで暮らすうちに祖父母の異様さに気づき始めるお話。POV映画というのにも驚きですがそれにもわけがあります。それについては後半で。

かなりおすすめできる映画です。


ヴィジット

2015年 アメリカ
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:オリビア・デヨング、エド・オクセンボールド

※ネタバレ注意

あらすじ

長く母と絶縁状態だった祖父母に会いに行くことになったベッカとタイラー。始めて会う祖父母はやさしく、すぐに馴染む2人。

しかし、その夜就寝したはずの祖母が奇声を発して暗い家の中を徘徊しているのを目撃します。痴呆の一種を患っていると祖父から説明され、納得するものの、一緒に生活して行くうちに、祖父母の奇行を目にすることが増え、2人は不安を抱きます。

優しいおじいちゃんとおばあちゃんで一安心……するのは甘かった!

祖父母の奇行は年齢のせい……と思いたいけど無理だろ!レベルの強烈さが襲いくる怪作です。

初日から目撃するおばあちゃんの夜の奇行にも「ちょっと痴呆が酷くてね」ときちんと説明してくれます。それを知ってしまうと姉のように「年だからしかたないのよ」と考えるのが普通です。

しかしだんだんとシャレにならない行動が増えていく祖父母。
床下での鬼ごっこに興じる2人に本気乱入をかますババアの迫力すごかったです。なにが怖いって、外まで逃げ出した2人に、床下から這い出てきた祖母は笑っていつもの調子を取り戻し「お菓子作るわね」と何事もなかったかのように去って行くのです。

その後ろ姿はスカートは破れ、尻丸出し……。ギャグのようなシーンですが、姉弟と同じく、こちらもまったく笑えません。ババア9時半過ぎなくても十分おかしいだろ!

夜中の狂乱も怖いですが、昼間にちょいちょい顔を出すおかしさの方がじわじわと恐怖心を煽ります。

ドキドキしたオーブンのシーン

おばあちゃんからオーブンの掃除を手伝うように頼まれるベッカ。おばあちゃんは執拗にもっと奥に入れ、と要求します。小柄なベッカはすっぽりとオーブンの奥まで入ることができるのです。

このシーンはドキドキで、別にそれほど対したことは起きません。起きなかったから良かったんですが、ホラー脳が活性化しているわたしは、このまま閉じられて(実際閉じられた)スイッチ入れるんじゃないかとヒヤヒヤしたのです。

わたしの考えすぎでしたけど、あとから自分の実の子供を殺していたという事実が出てくるので場合が場合ならスイッチ入れただろうなと思うとなおウヒャーです。

後半衝撃の事実が判明したあとの緊張感がすさまじい

驚愕の発狂老人ホラーでした……。いやーこれはなかなか新しいです。
元々精神的に病んでいたひとが痴呆症も患い最悪の事態へと流れて行きます。

お母さんにスカイプで祖父母の姿を見せた時に、様子が変わるので「え、まさか……」と思ったらまさにそれでした。実の祖父母じゃなかったー!!

これた分もっと勘のいい人だったら気付くんでしょうね。ハイ、とても鈍いですわたし。監督の意のままに騙されました。

身内だと思って耐えてた奇行も、他人だと判明した瞬間にヤバさの度合いが一気に跳ね上がります。血縁フィルターってありますよね……。

ここまでの伏線は、爺婆の真実のためではなかった!

なんでM・ナイト・シャマランが今更POVを?とはじまったときは思いました。しかし、この映画の形式がPOVだというところまで含めて、映画の伏線だったのです。

姉弟がなぜ初対面の祖父母の元を訪れたのかというと、絶縁状態になったことをまだ悩んでいる母に許しを得るためでした。
そしてベッカとタイラーも、父親が自分たちを捨てて去っていってしまったことに、傷つき悩んでいます。ベッカは鏡を見れなくなり、タイラーは極度の潔癖性という形でそれが現れています。

これが発狂した年寄り2人に襲われる経験を通して、母親は両親の愛情と許しに気付き、ベッカとタイラーも父との決別を受け入れることができたのです。

この映画はベッカが編集して仕上げたものという体裁をとっています。
ラストシーンに流れる音楽も、ベッカが映像の中で話していたものです。なんでここでこの音楽?と思ったんですが、この映像はただのPOVではなく、ベッカがちゃんと作った映画なのだというのがここでわかります。

POV映画はぶつ切りで終わることが多いです。実際にあったことを手を加えずに流しますよ、という体裁をとっているため、なんの解決もしないのがPOVの大半です。

しかし「ヴィジット」はきちんと映画として編集しています。彼女たちが体験したことをドキュメンタリー映画として作り上げたのです。

家族が再生していくラストシーン

ラストシーンでラップを歌うTダイヤモンドことタイラーはその歌に自分の再生を表現します。このラップがなかなか良くて、下手をするとぶちこわしになりがちな演出ですが、とても微笑ましい。彼が衝撃的な体験とトラウマを乗り越えたんだな、というのがよく表現されています。

その後ろで鏡を見て髪をとかすベッカの姿に、彼女の解放も知ることができます。

爺婆と直接対決をしている間は、もう絶望エンドしかないんじゃないかとハラハラしてたんですが、まさかこんな清々しい気持ちで終われるとは考えてもいませんでした。

M・ナイト・シャマランの映画と言えば、衝撃の展開ですけど、祖父母の正体よりも、こちらのほうが衝撃的です。気持ちのいいどんでん返しを久しぶりに味わわせてくれました。

余談ですが、個人的におむつのシーンはグロよりきつかったー。

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