つぶらいん

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【映画】ペット・セメタリー/ペットたちのお墓に隠されたおぞましい秘密

新居へと引っ越し、新しい生活を始めた家族を襲う悲劇を描いたお話。
伏線がバリバリに感じられるシーンが冒頭から続き、この家族にどんな不幸が待っているのかを見る側に想像させます。ホラーなんだから悲劇が起きるのはわかっているんですが、それでもやるせない気持ちになる映画ですね。
見終わった後独特の余韻を残してくれます。

ペット・セメタリー

1989年 アメリカ
監督:メアリー・ランバート
出演:デイル・ミッドキフ、デニーズ・クロスビー、フレッド・グウィン

※ネタバレ注意

あらすじ

家族とともに郊外の家へと引っ越してきたルイス。妻のレイチェルと娘のエリー、そしてまだ幼い息子のゲイジの4人家族で、新たな土地で幸せな生活をスタートさせます。隣家に1人で住む老人のジャドも親切で、土地のことをよく教えてくれます。
悩みの種は家の前の道路を配送トラックが猛スピードで走り抜けること。深くは考えていなかったルイスでしたが、ある日エリーがが可愛がっていた飼い猫のチャーチが犠牲になってしまいます。エリーにどう伝えるべきか悩むルイスに、ジャドは家の近くにあるペット・セメタリー(ペットの墓)の奥にある呪われた地へと案内します。そこにチャーチを埋めるように指示され、よくわからないまま従うルイス。
しかし翌日、チャーチはルイスの元へと戻ってきたのです。しかしチャーチはどこか以前とは違い……?

家族と死

様々な場面で死について考えるように仕向けてくる映画です。赴任初日から大怪我で運ばれてくる患者は手の施しようもなく、亡くなってしまいます。さらに家に通いできていた手伝いの女性は、胃痛(だけじゃないだろうけど)を苦に自殺。愛する妻の幼い頃になくなった姉の死に関するレイチェルの秘密。

娘のエリーは死について考え、悩み、たびたびルイスに死の概念について質問をしてきます。
それに優しく真摯に答えるルイスは理想の父親でもありますが、彼の深すぎる家族への思いは、やがて悲劇を招き寄せることになってしまうのです。
エリーが死をうまく受け入れられないのは子供ゆえですが、ルイスも実は彼女と大差ないように感じられました。「神様ならなんとかしてくれる」と話すエリーと、息子の死を受け入れないルイスの行動に違いはありません。

この父親を愚かだと断ずるのは簡単だけど……

飼い猫が蘇ったのを目の当たりにしてしまったことで、ゲイジの死をそのまま受け入れられなくなったルイス。医者ですから、本来生死に関してはきちんとした考えを持っていたはずです。理屈を覆す出来事のせいで、彼は本来ならあり得ない選択肢を持ってしまったのです。
ジャドはルイスに対し忠告しますが、しかし一度取り憑かれた考えを捨てることはできません。愛情が深ければ深いほど、魅力的なものなはずです。それを理解してるからこそ、ジャドはルイスに過去に人をあの墓地に埋めたことがあるのを話して聞かせます。

ゲイジの死で完全にルイスの判断能力はおかしくなってしまっているのです。
失敗したら自分で始末をする、と話す彼ですが、失敗なんてかけらも想像していないでしょう。なにしろ、そうなればもう一度愛する息子を自分の手で葬ることになるからです。疲れ果てていたとはいえ、無防備に眠る彼はただやり遂げた思いでいっぱいでしょう。もう一度息子をその手に抱けることを信じて。

ゲイジの最後の言葉が印象に残る

父から毒を打たれ、2度目の死を迎えるゲイジの最後の言葉は印象的です。

「ずるいよ、パパ」と言うゲイジの顔はもはや凶悪な悪魔のものではありません。その声は、自分を死の淵から呼び戻し、さらにもう一度死なせる父親に対する身勝手さを責めているようにも聞こえます。

作中で「あの土地は腐っている」と言われていますが、この蘇りのシステムは本来の魂とどういう関係があるんでしょうか。
姿形だけが生前のもので、魂は悪霊のもの、と思うとあの残酷さにも納得ですが、最後のゲイジの言葉を考えると、彼の魂自体はゲイジのもので、蘇りの課程で悪霊に染められてしまった、とも考えられます。
あのまま眠らせてくれたら、魂は穏やかに眠ることができたのに、無理矢理引き戻した父の行動で、ゲイジは変わってしまうことになったとも取れませんか?

そう考えるとあの最後の「ずるいよパパ」がまた違った響きを持って聞こえます。

強烈なラストシーン

物語はここで終わりではありません。
ただジャドの家を遺体ごと焼き払って終わりだったら、たくさんあるホラー映画の1本として並ぶだけだったでしょう。

息子で失敗した彼は、三度あの地へと足を運びます。腕には愛する妻であるレイチェルを抱いて。もはや彼を助けようとするパスコーの声にも耳を貸しません。愛する家族をもう失いたくはないのです。

映画はルイスの悲鳴によって幕を閉じます。

後に1人残されるエリーの心の傷を思うとたまらないものがありますね。下手をしたら心配して家にやってきた義父母とエリーがレイチェルの手によって殺害される可能性もあり、なんだか全般的にバッドエンドにしかなりえない印象の物語です。

見終わった後に鬱々とした気持ちになりますが、なぜか心に残る映画です。
小学生の頃に初めて見て、通算で4回目ぐらいの鑑賞なんですが好きな部類ですが、何度も見ようとは思えないんですよね。重すぎるストーリーが気楽に見る気分では再生できません。
現実離れした話ですが、突きつけられるものは重くリアルなのがその原因でもあるでしょう。

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