つぶらいん

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小説

【小説】Q&A/突如起こったショッピングセンターでの惨劇!対話形式で進むサスペンス

恩田陸作品の中でもかなりの異色作と言ってもいいと思います。
タイトル通り、全編が対話形式となっており、インタビューのような形式で話が進んでいきます。

全部がカギカッコでどっちが話してるかわからん、とはなりません。
それこそインタビューのような感じで一方にだけカギカッコになっていますので、どっちの話かわからなくなるということはありません。ミスリードさせるようなタイプのお話ではないのです。

あらすじ

事の発端は新興住宅の近くにある巨大ショッピングモール。
新聞記者の笠原はそのショッピングモールで火災が起きたというニュースを見ます。自宅からそれほど遠くない場所だったため、取材に向かったのですが、現場は混乱を極めているものの、実際に火災が起きたような形跡はありません。
聞き込みを続ける笠原でしたが、集まる情報は二転三転し続け結局ショッピングモールで何が起こったのかが一向にわかりません。

多くの死者と怪我人を出したこの事故は、その後も原因が解明されず調査が続けられることになります。

Q&A/恩田陸

突如として混乱を極め、多くの死者を出した惨劇には原因がなかった?

死者は出ているものの、その原因の多くはパニックになった人間たちによる事故ばかり。混乱を生み出したと思われる人物たちはいるものの、肝心のものがわからないのです。

毒を撒いた人間がいる、という話や妙な老夫婦が刃物を出した、という話、混乱の要因がバラついている上に、証言がマチマチ。さらに肝心の毒ガスやらなんやらがさっぱり出てこないのです。

つまり、何も起きていないのに人々は逃げ惑い死者まで出したという凄い状況。

最初にインタビューされるのは新聞記者です。彼は当日知らせを受けて自転車で現場へと向かいます。そこで目にしたり取材をしたりしたことを話します。
彼の話で上のような状況を知ることができます。

インタビューするのは政府の機関の人間で、事件の詳細を調査するために関係者にインタビューをしているということでした。
事件に関わった様々な人のインタビューを通して、中心の見えない異様な不安と不気味さを感じさせられます。

政府の人の情報収集インタビューが延々と続くのかな、と思いきや、だんだんと様相が変わってきます。

インタビューですから、話している当人が知りうることは限られています。断片が重なって、読み手はだんだんと話を組み立てていくことになりますが、そこは恩田陸、なかなか一筋縄ではいきません。

それぞれに語られる事故の描写とともに、彼らの抱えるものも表に出てくる

小説を読んでいると、どこか物語に解決を求めてしまいます
主人公たちや登場人物など、問題を抱える人が登場すると、それを解消するか、何らかの変化があって、救われたり逆にどん底に落ちたりして、そういうドラマが当たり前になっています。

この小説の独特なところは、語り手がどんどん変わっていくため、それぞれの登場人物たちの断片的な人生を垣間見ることになるということです。

その中には胸の悪くなるような話も多数あります。それは一切の解決をみせることはありません。彼らの人生の中のショッピングモールの中の事件にだけクローズアップするのが今作だからです。

そういうほったらかしな部分が後を引いたりもして、何とも言えない読後感を味わうことになるでしょう。
ショッピングモールに来ていた少女の話は胸糞悪すぎて、今後の彼女が強く生きていってくれることを願わずにはいられません。

ぐっと引き込まれる謎に考えを巡らせてしまう

この本を読んだ友人は「なんかよくわかんなかった」と言っていて、それもわかるんです。
大多数の謎がだいぶ投げっぱなしになっているからです。明確な回答を得られるミステリを望むとまさかのエンディングに呆然としてしまいます。

一応回答っぽい部分はあるものの、いまいちそれが正解とは言えない様相もあり、どんどん深読みできちゃうんですよね。
断片的な情報が組み合わさっていくのがアドベンチャーゲームの謎を解いているような気分で、自分の頭の中でパズルを組み上げていくのが楽しい本でもあります。

会話形式だから読みやすいと思いきや、だいぶクセのある小説に仕上がっています。
軽い気持ちで手に取ると思った以上の打撃を受ける内容で、読み終えたあと結構引きずりますね。

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