SFホラーの超名作「遊星からの物体X」の正式な前日譚!
これだけでテンションが上がります。なんつっても30年前の作品の前日譚ですよ。
不安特大の期待微小……ぐらいで観始めたんですが、面白かった!
元の「遊星からの物体X」は南極の観測基地を舞台に、他者を完コピする未知の宇宙生物がそこに紛れ込み、人々を襲う話です。完全にコピーの上本体と入れ代わるため、仲間の誰が乗っ取られているのかが分かりません。お互いに疑心暗鬼になり、誰も信用できない状況に追い込まれます。しかも外部に助けを求めるのが非常に難しい南極。
逃げ場のない閉じられた世界で展開するSFホラー映画でした。
そして、この作品は事の発端となった、壊滅したノルウェーの基地で一体何が起こったのかを描いているのです。
スポンサーリンク
あらすじ
古生物学者のケイトは、ノルウェーの南極観測隊が発見した「あるもの」の発掘の手伝いを依頼されます。詳細を明かされずに現地まで案内された彼女が見たのは、氷の下にある巨大な宇宙船と、地球外生命体でした。
大発見に歓喜する調査隊でしたが、なんと発掘した地球外生命体は氷の中で生きており、暖かい室内で溶け出したために蘇り外へと逃げ出します。
手分けして捜索した隊員たちでしたが、「それ」は隊員を襲い体内に取り込もうとします。救出はあきらめ、逃げこんだ倉庫ごと焼き払うしかありませんでした。
回収した死体を解剖したところ、教われた隊員は体内で分解され、吸収されかかっていました。さらに、新しい細胞を作りだしており、ケイトはそれは隊員に擬態しようとしていたのではないかと仮説を立てます。
それはつまり、あの生命体は取り込んだ人間に成り代わることができるということで……。
遊星からの物体X ファーストコンタクト
2011年 アメリカ
監督:マティス・ヴァン・ヘイニンゲンJr
出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョエル・エドガートン
※ネタバレ注意
グロ系SF映画なのは変わらず。
「遊星からの物体X」といえば、すっさまじい人体のクリーチャー変形っぷりが見所ですが、今作でもこれでもかというほどにメキメキ変形しまくってます。
分断された腕が単体でカサコソ動き回り、人に飛びついて同化したり、人間にスリスリしてそのまま取り込んだり。もちろん丸呑みして半消化とかそんなんもあったりして、いやぁ楽しいね!
CGで大分フォローしている部分も多くて、やや「あれ?」と感じる部分もありますが、なかなかにいい造形です。
ホラー系の映画だと、画面が暗くてなにがどうなってるのかがサッパリ分からない、という現象が起こりが ちですが、このシリーズは明るい室内でガッツリ見せてくれます。
暗闇というのは便利な物で、イマイチな造形もそれっぽく見せてくれるもんですけど、そういうごまかしに逃げない潔さも好きです。
前作とのつながりもきっちり踏襲
30年もあいて製作された作品だけに「大丈夫か?」という不安がありましたが、前作でアメリカ基地の隊員たちが目撃したノルウェー基地の惨状をきっちり押さえてくれます。
室内にあった切り出した巨大な氷や、壁に刺さった斧、外で焼かれたクリーチャーの死体……。上げればきりがないほどにつながりを持たせてくれています。
それがまた不自然じゃなくやってくれるのがいい。観終わったあとに、1作目の方を見直してみて「あ、そうだった!」と気付く部分も多くて、きっちり整合性もたせたんだなと感心します。
細かい所までしっかりと再現されていて、今回の製作陣の前作へ対する敬意がすばらしいです。矛盾に気を取られて話が入ってこない、ということは一切ありません。
特に素晴らしいのはラストシーンです。
すべてが終わったと思ったあと、走り出す犬。そしてそれを追う隊員。
そのままアメリカ基地の惨劇へと繋がってゆくのです。
改めて1作目を見るとまた感慨深いです
ご覧になっていない方はぜひ、前作の「遊星からの物体X」を先に観てからこちらを観ていただけると良いんじゃないかな、と思います。
遊星からの物体Xの記事はこちら
→【映画】遊星からの物体X/隣にいるのは本当に仲間なのか? 最悪の疑心暗鬼映画。
とっくの昔に観たよーという方も、良い機会なので、これを観た後に前作を復習してみてはいかがでしょうか。ていうか観たくなります、絶対。