サファリツアーに出かけた人々がうっかり国立公園のど真ん中に取り残されてしまい、そこから脱出を試みる、という大体どんな感じになっていくのかがわかりやすいPOV。
設定は単純明快ながら、色々とアレな感じに仕上がってしまって残念な作品になっていました。
どう残念なのかは続きをどうぞー。
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あらすじ
アフリカにサファリツアーに参加したカップル。
ライオンを見れないことに不満を訴える参加者に応え、ガイドが国立公園の外に案内してしまいます。念願のライオンを見て大興奮の参加者たち。
しかしその道中で車が故障。さらに頼みの綱のガイドが毒蛇に咬まれて瀕死。
さぁどうする。
分かりやすい。
2013年 アメリカ
監督:ダレル・ルート
出演:キム・アーゲツィンガー、ロッキー・マイヤーズ、クロエ・カービー
※ネタバレ注意!
内容はありません。だいたい想像通りに話が進みます。
冒頭の「大使館が〜」の文章が最高に嘘くさくて(嘘ですが)なんの煽りにもならないです。POVのお約束。
ガイドが蛇にかまれ昏睡。アシスタント(?)は助けを呼びに行く、と無謀にも一人で車を降りて歩いて行ってしまうんですが、まぁ戻ってきませんよ。戻ってくるわけがない。
で、瀕死のガイドが死亡する前に「……みんな死ぬ」的なことを言うんですね。
いやぁ出来過ぎ!
その夜から早速ハイエナ君がご登場。フルオープンな車は当然ながら襲撃されます。
そのトラウマから、ようやく歩いて戻る、という選択肢を選んだ御一行。しかし前途多難。
なにしろコンパスなし、地図は国立公園用、水もその場しのぎレベル。RPGの初期装備より酷い。ひのきの棒もない!
いくら国立公園用の装備とはいえ、野生動物がいるわけですから、麻酔銃の一つぐらい備え付けとけよって思うんですけどね。金持ち観光用の施設だからしょうがないのかな。
でもなぜかテントはあったりして、備えの方向性が間違ってる。
さらにカメラのバッテリーもバッチリで、どれだけ保ってるんだ……と。ここまでくると突っ込みはヤボか。
ちょっと待て事故死多いぞ!
お約束として一人二人猛獣の餌食に……なのかと思いきや、嘘みたいな事故が数件混じってます。どういうことなの。
崖からの落下にたまたま見つけた銃の暴発。なんてお粗末!
あの、改めて言いますが、このDVDを観ようと思うような人はこんな事故映像を求めているのではないのですよ!
しかーも、このDVDを手に取った全員が期待したような、動物によるあれこれはほぼガクガクしたの手ぶれと、ほとんど見えない暗視モードと、よくわからない暗転とで構成されております。つまり全然ですよ。アハ。
当然低予算映画ですから(多分)そんな素敵な動物映像にお金はかけられるほどではなかったのでしょう。事故映像なら、それらしくも見せられますからね。
うん、わかるよ。低予算、工夫って大切。
カップルのイチャイチャは少ないが、男の醜い争いが延々
歩き出すものの、サバンナのど真ん中。誰も道を知らない、地図はない、当てずっぽうで歩くだけ。
その道中、地味に主人公彼氏(庶民)といっしょに来ていたセレブカップルの男の方がもめ始めます。じんわりとセレブ男が嫌な奴なんですよ。
男二人のマウンティング合戦は本当にウンザリします。片一方(多分医者)の庶民への見下しが半端なくて、とっても嫌な奴です。
そこまで相手を見下してるなら、なんでまた一緒に旅行なんて行こうと思うのかね……。
さらに主人公カップルも割とどうでもいいことで痴話喧嘩を初めてもう失笑です。
POV映画……だよね?
にしても、POVのセオリーを踏襲しつつも、映画的手法を使ってるのがどうにもなぁと。冒頭の現地の少女をの下りは後々の合流で必要と思ったんでしょうけど、わたしは声を大にして言いたい。
「あの少女の家族の映像撮ったの誰だよ!」と。
見終わった今、さらに言いたい。「エンディングのあれ撮ってるの誰だよ!」と。
POVでやりたいんだけど、ちゃんと映画にしたいから、とりあえずプロローグとエピローグ的に入れたよ、ってんなら雑すぎてオイオイですよ。
POVのいいところはクライマックスでブツン、でもオッケーなところなんだからさぁ。
この手の映画でど定番な序盤のカップルの無駄なイチャイチャもわりと少なめですし、早い段階でサファリに出かけたのはいいんですが、途中途中にどう考えても素人がカメラで撮ったんじゃないだろっていう登場人物たちのアップの黄昏映像とかがあったりして、やってることがすっごい中途半端です。
皆さんあの手この手でPOVでありながらも撮りたい映像を撮れるカメラを探っているわけですから、こういう「ちょっと入れとくか」的な「あれ?」と思わされる映像の異物感がすごいんです。
頑張って本物っぽく撮ろうぜ?
昨今のホラー業界のPOVの多さを考えてください。観る方もそこそこ慣れて、クオリティはともかく、話の説得力とか、どう見せるのかとかが目につく時期なんですよ。
そこで中途半端は一番よくない!
ちゃんと映画ににするんだったら、POVと映画部分をくっきりはっきりさせるとか、もうちょっとどうにかできただろ、と思うんです。
ストーリーがどうこう言うのも野暮な映画にですから、だったら見せ方でもっと勝負できたのになぁと残念です。
「ザ・ベイ」とかすごくいいPOVに当たった後だといろんな甘さが気になる一作でした。
POVのバリエーションの一つとして話の種にでも観てみればいいのかな、というところです。残念でした。