クライヴ・バーカーの代表作の映画化です。
よくアレを映像化しようと思ったなぁ……。超グロ映画注意。
さて、原作は短い短編小説なのですね。これを2時間にするのきっついだろ、と思ってましたがやっぱりキツかったんでしょうね。脚色がすごい。
とは言っても、原作をうまーく解体して味付けして組み立て直した感じで、嫌ではありません。原作通りにやったらそれこそ世にも奇妙な物語レベルの時間しか作れないんで……。
主演の人見た事あるなぁ……と思っていたら、いまや人気俳優のブラッドリー・クーパーじゃないですか! まさかこんなB級スプラッターに出ているとは……。2重で驚きです。
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簡単なあらすじ
売れない写真家の主人公。
地下鉄で男たちに絡まれている女性を偶然助けるのですが、後日その女性が行方不明になっている事を知ります。
そのとき撮影した写真はスポンサー(?)に絶賛されるのですが、そこにはなにやら事件の手がかりらしき男が写っています。
危険を感じつつももっといい写真を撮るために事件にのめり込んで行く主人公は……。
ミッドナイト・ミート・トレイン
2008年 アメリカ
監督:北村龍平
出演:ブラッドリー・クーパー、ヴィニー・ジョーンズ、レスリー・ビブ、ブルック・シールズ
ネタバレ注意
バーカーの短編はあくまで原案。きっちり長編ホラーに仕上がっています。
都市伝説的話がベースになっているのだと思います。原作は短編な分その色が濃いですが、もちろん思わせぶりな伝説レベルではありません。
最終列車に乗っていて、うっかり眠ってしまったら今どこを走っているのか分からない。乗客は誰もおらず、駅でも止まらない列車。周囲は血まみれで……という冒頭。「こういう映画です!」というのを高らかに宣言していて大変好感が持てます。
この手の映画は10本観て気に入るのは1本あるかないか、というレベルなんですけど、こちらは当たりでした。
物語も大きな破綻もなく進みますし、なにより映像が綺麗ですね。演出がやりすぎるギリギリなのがポイント。出し惜しみなくガッツリ見せる映像も良いですね。ホラーにありがちなごまかし演出は全くなしです。潔い……。
地下鉄の無機質な空間と、殺人鬼の性質が上手くマッチしているのもいいんですよね。出てくる「場」がどれもこれもしっくり来て違和感を感じさせません。
主人公のカメラマンを軸にしつつも、同時進行で行われる地下鉄内での惨劇もがっつり挟み込んでくるという憎い演出。
たまたま助けたモデルの失踪事件を探るうちに、とんでもない殺人鬼に向かっていくことになる主人公。特大の地雷を踏み抜きにまっしぐらな主人公のへ対する「お前止めとけって!」というこちら側の感情移入もバッチリです。
バーカーファンにもオススメの一作
殺人鬼の目的は一体何なのか、というのが大きな謎の一つになっています。
どこか職人的な印象を持たせる彼と、闇に飲まれる主人公の対比が面白いですね。中盤犯人に捕まってしまうのですが、何故か解放されるというのも、このエンディングに向けた布石だったわけで。
しかし巻き添えのお友達と彼女(婚約者)はかわいそう……。捕まっちゃった友達のひとなんてあんな状態でバトルの巻き添えってマジかっていう展開です。いやとばっちり酷い。
あのバトルシーンは状況が色々とひどくて(褒めてる)、ぶら下がってるじゃん! いっぱいぶら下がってるじゃん?! なのでお友達の巻き添えもハラハラしたよ……。予想どうりだよ。
でもお友達が一番痛そうだったのは助けようとした彼女(婚約者)が外そうとして失敗して足首ガツーンのとこだと思う……。おおう痛い痛いいいいい。
最終列車に駅たどり着いたところでとんでもない真相を明かされるんですが、犯人の勤め先が食肉工場でさらには警察を含めたいろんな人がグルってあたりでまぁそうだよねーって感じです。
オープニングのサラリーマン覚えていたら、あのエンディングで「あ!」となるはず。ああこういう演出好きだー。最後まで驚かせてくれる映画っていいですね。
バーカーの短編を読んだ人ならあの後半の展開は納得なんですけど、知らない人はどう思ったんでしょう。
原作付きの映像化作品としてはかなりいい線いってると思います。
グロ成分はかなり多いので、苦手な人はやめておこう!
気に入った方は原作もぜひ!
血の本シリーズは本当にすごいんで! これでもか!というアイデアがタップリの短編集です。超好き……。こんな表紙だけど集英社の夏の100冊に入ってたこともあるんだぜ……。めっちゃ浮いてたけどね!
そして今Amazon見たら原作本中古しかない! また絶版しとるわ!
日本ではあまり需要がないんですかね……。ハマった当初、血の本シリーズ全部揃えるのかなり大変だったんです。