アメリカの南極観測基地で起こる殺人事件のお話。
ちょっと変わった設定のミステリ映画って感じでした。
面白そうな要素がいっぱいあるんですけど、今ひとつ盛り上がらないまま終わってしまった印象。
日本の同名の小説とは全く別の映画です。
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あらすじ
主人公は基地に駐在する警察官のキャリー。事件らしい事件がこれまで起こったことのない基地での生活もあと数日。冬季の駐在員と交代で本土へと帰る予定でした。
ところが、基地から離れた山で他殺体が発見されます。隕石調査を行っている調査隊の地質学者だと判明し、テントへと向かうのですが、そこでは仲間の隊員が死亡していました。キャリー自身も現れた犯人に襲われ……。
ホワイトアウト
2009年 アメリカ
監督: ドミニク・セナ
出演:ケイト・ベッキンセイル、ガブリエル・マクト、コロンバス・ショート、トム・スケリット
南極サスペンス。
※ネタバレ注意
ありがちなサスペンスを南極を舞台にすることで一味違って感じさせる映画。
冒頭でロシアの飛行機が墜落します。
理由は仲間割れ的なものなのかはよくわかりません。積荷に関してパイロット達がなにやら結託した感じですが、はっきりしません。本編終了後もよくわからないままなので、ここはスルーでいいのかな。とにかくなんか仲間割れして打ち合いになって墜落したよ!というのを理解すればOK。
時は流れて50年。アメリカの観測基地の警官であるキャリーは、あと数日でこの基地を去る予定。そんな中ちょっと先の山で死体発見の知らせが届きます。冬季の人員交代で基地内は浮かれモード。交代準備で忙しいのに空気読めない死体。
発見された死体は他殺体。南極初だねーなんて言ってたら、被害者が所属する調査隊から「あんただけに話があるよ」と怯えた様子で連絡が入ります。
調査隊のもとに向かう主人公ですが、案の定連絡をくれた隊員は死亡。そこで主人公も襲われてしまいますが、なんとか逃亡。相手はがっちり南極装備で顔もわかりません。
イケメンの国連捜査員も合流して事件は一気に進んでいきます。
南極というところを差し引くと、だいぶフツーのサスペンス映画です。
面白くなりそうな要素がたっぷりあるんですが、どうにも惜しいという印象です。
- トラウマ持ちで、わざわざ南極で警官をやってる主人公
- 南極で初めての殺人事件
- 謎のロシアの墜落機
- 基地での残された時間はわずか
- 冬季のため、天候が酷く視界すらおぼつかなくなる
- 吹雪の中では道標になるロープに体をつながないと吹っ飛ばされる
などなど、状況的にはなかなか面白要素がたっぷりなのです。
でも見終わった感じが今ひとつ物足りないのですよね。うーん……。
原因の一つは、マイアミで警官をやっていたという割に、危機感が薄い主人公かもしれません。
確かに南極で殺人事件は今回が初めてですが、それでも「電話じゃ話せない。1人で来てくれ」なーんて死亡フラグプンプンで電話をよこした相手に会いに行くのに、銃ぐらい構えてなさいよって感じで……。案の定襲われるし。
あとはラストの吹雪の中での格闘がいまいちどれが誰ってわからないところも盛り上がらないポイントですね。猛吹雪だからわかるんですけど、どっちが国連の人でどっちが犯人かわかりゃしない。今ドアを叩いて「開けてくれー」言ってるのはだあれ? もうリアリティ落ちてもいいからわかりやすい色の上着とか着せましょうよ。
あのカシャーンてするロープがポイントなのもわかりますけど、誰がどこに向かって逃げてるのかもピンとこなくて参りました。
本当なら、悪天候の中格闘してハラハラ、なシーンなはずなんですけどね。色々と残念。
登場人物の行動もなんだか納得いかなかったり
さらに、施設の責任者の人が「殺人鬼がいる場所にみんなを置いていけない!」と基地の閉鎖を決めるのですが、それもなんか中途半端なんですよ。
みんなのためみたいなこという割に、殺人事件に関して無関心だし、主人公と一緒に行動していたパイロットの人が刺されて重傷なのにそのまま最終の飛行機で行っちゃうし……。いや、責任者残れや……。だってこれ最悪主人公たちと殺人犯だけ残して行くってことなんですよ。酷すぎないか……。
もっと言うなら、閉鎖って言うなら全員強制退避させなさいっての。
ていうか、基地内の人間が犯人なら、所長の責任も少なからず追求されるんじゃないのかな? うーん。みんな我関せずって感じが違和感でした。
そういう違和感がチラホラあるのもイマイチ乗り切れないところなのかもしれません。
だって、国連の人の話だと、下手すりゃ核の燃料になるかもしれないブツが持ち出される可能性があるのに、いくら何でも悠長すぎるじゃないですか。
つまらないわけではないけれど……
最後黒幕が判明する場面でも、もうちょっと疑いを重ねて行くっていう方法もあったんじゃないでしょうか。なりゆきで判明する事実ばっかりで、ちゃんとした調査的な部分が少なすぎるんですよね。ミステリー的な部分も薄めで、アクションもそれほどでもなく、物足りないんですよ。
つまらないならそれで済むんですけど、あれこれ惜しいっていう印象です。
設定は派手なのにどうにも地味なんですよね。
主演はケイト・ベッキンセール。彼女がとにかく美しいので、まぁそれを堪能する1作と思えば無駄でもないのかなって言う感じです。