エドワード・ゴーリーの優雅な秘密を観てきました!
8月28日まで福島県美術館で開催されています。
もうすっごい楽しみにしてたんですよ!
「どうせまた東京だけでしょ……」なんて拗ねてたんですが、福島に来ると知ってリアルに飛び上がりました。嬉しい。大規模嬉しい。
隣の県ぐらいだったらさらっと行きますわ!
とうことで行きました。
大きく分けて3つに別れています。
第1章 ゴーリーの本
第2章 挿絵や表紙など
第3章 その他の創作や舞台美術など
半分ぐらいが第1章で、もう半分で第2章、第3章でした。
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実際に観たゴーリーの絵は……?
見て驚いたのは絵の小ささ。
ゴーリーの魅力でもあるあの細密な絵がなんと絵本と同じサイズで描かれているのです。
あの細かな絵をこのサイズで?!
幸いなことに絵に限りなく近づいて見ることができるので、その微細さがよくわかります。
横にある印刷された絵と、展示されている原画は一瞬迷うほどに違いがありません。修正というものがほとんどないのです。そして、もっというとどちらかといえば、原画の方が繊細な線が生きている分美しいのです。溜息が出ます。
解説によると、描き直すことができない場合は上から紙を貼って修正したらしいです。実際いくつか修正と思われるものがありましたが、それにしてもほんとうに修正が少ない。おそらくはよほどの場合は描き直していたのでしょう。
表紙の習作がいくつかあったので、同じようにイメージを固めるための習作が沢山あったのでは、と勝手に想像。
迷いのないまっすぐな細い線に目を奪われます。
どの絵もそうですが、印象に残ってるのは「具体例のある教訓」の木です。あの小さな紙にすうっと細い線で表現された枝。パノラマ写真のような構図で描かれた人々もひときわ細かな描き込みがされています。美しいです。
「子供部屋の壁模様」の原画が観れたことも嬉しかった!
この絵のスケッチなどもありまして、あの謎の動物の元ネタがカバだということも明かされています。カバの絵もありました。
あの絵も変則的なサイズですが、きっちり原寸で描かれていました。
ゴーリーはやっぱりゴーリーだな……と感じさせられる原画でしたね。
ゴーリーの本以外の仕事や創作
ザクザクと描かれたスケッチ、書き込まれているメモ。今、わたしは英語の勉強をしていなかったことを最高に悔いています。なんてメモしてあるのか読みたい! 読めない! さっぱりわからない! ゴーリーの創作の過程をもっと知りたい!
図録にも少し収録されてるので、がんばって読めるようになってみます……。
発表されなかった描きかけの作品もあったんですが、それにある下書きと、途中まで描き込んだ絵で、どのように制作されているのかを想像することができます。すごい。あの1枚すごいです。マジかってレベルで途中まで描かれていて、自分の絵の完成図がリアルに頭に描けているのだな、と驚きました。
後半の第2章、第3章での見所はやはり大学時代、お母さん宛に送っていたという絵封筒。
こんな封筒で手紙が来たらそりゃうれしいわ……と思う反面、お母さんに後ろから首を絞められそうになってる絵の封筒ってどういうこと……?!とこの頃からあまり変わってないスタイルに笑いがこみ上げます。ぶれない、ゴーリー。すき。
個人的には「プレゼント交換するドラゴンと人」の絵が好きですね。どこかとぼけた印象の絵で可愛らしいです。
行くなら空いているところを狙え! じっくり見ないと後悔するぞ!
公開されてすぐに行きたかったんですが、空いているところでじっくりみたかったので夏休みギリギリ前の平日に行きました。
もう大正解です。
とにかく原画が小さいので、近づいてじっくり鑑賞したくなります。集中できるので、まばらなぐらいがちょうどいいのです。
わたしが行った時は1部屋ごとに10人いないぐらいで、本当に静かに見れました。
じっくりみて大体1時間半〜2時間というところでしょうか。わたしの前後にいた人たちも同じペースだったので、わたしが特別遅かったということもありません。
わたしはというと、1回1時間半観て、常設展も回って、喫茶店で休憩。その後再入場で1時間ほどまた見て回りました。
意外と1人でいらっしゃってる人も多かったですね。みなさん本当にじっくりご覧になってました。そうそう、魅入っちゃうよね……と勝手に親近感。
できるかぎり混雑時を避けることをオススメします。
嬉しかったのは、ゴーリーの仕掛け絵本の実物が見れたこと。あの覗き込むやつです。ガラスの中なのですが、ちゃんと奥まで見れました。
原書の展示も多かったです。原画もそうですが、原書も実物を見ることができる機会なんてそうありません。貴重な本ばかりでした。
「うろんな客」の各国の翻訳本も展示されていて、興味深かったです。表紙の色や字の感じが全然違うんですね。面白い。
ショップで内心悲鳴。欲しいものが多すぎる!
ゴーリーファンならスルーできないのが、ショップ。
すっごいです。こんなにゴーリーグッズが充実してるなんて……。
定番ですがマグカップがメチャクチャかわいいです。トートバッグもいい……。もうお金が、足りない……!!
図録は必須として、書籍関係もひとまとめでありますので、買い逃しているものがあったらこれを機に揃えるのも良いのではないでしょうか。
先着で今回の展示のポスターも貰えました。
ゴーリーのことをもっと知りたい! という方にはこちらがおすすめ。
ゴーリーの作品をじっくりたっぷり解説してくれています。1冊丸ごとゴーリーなのが嬉しい!
ゴーリーの本いろいろ
日本でもかなり翻訳されているのが増えてきています。
みんな大好き「うろんな客」。
子どもたちがアルファベット順に死亡するというなかなかの本「ギャシュリークラムのちびっ子たち」。
実際に起きた事件を題材にした薄暗い絵本「おぞましい二人」。
絵のみで語られる西棟の姿「The West Wing」。
窓の外で繰り広げられる奇妙な生き物たちのドタバタ「題のない本」。
この辺はわたしの趣味ですが、他にも多数翻訳されています。
未翻訳の本も、Amazonで買うことができたりと入手しやすい状況になりました。
洋書だと「Amphigorey」というシリーズがあります。大判のペーパーバッグでゴーリーの作品の総集編です。こちらは4冊ありまして、入手しやすいのでおすすめです。
当然洋書だと読めないわけですが、ちょっと英語勉強してがんばるのもアリ。
文章にもこだわりのあった作者なので言いにくいですが、絵だけで楽しむのもいいのではと思います。
福島県美術館のこと
福島県美術館は環境的にはかなりいいところです。
初めて行ったんですが、敷地は広くて、散歩したくなります。実際されている方もいました。
ベンチもあるので、高校生カップルがいたりして微笑ましかったです。
図書館が併設されているので、市民としては利用しやすいいい環境なんじゃないでしょうか。羨ましい……。それなりに町の方なんですが、車通りもそこまでではないし、近くにあったらいいなーという感じですね。
福島県美術館公式HP
→http://www.art-museum.fks.ed.jp/
その隣の図書館でも関連企画で、ゴーリーの特集をやってました。
ゴーリーの本と、ゴーリーが影響を受けた本や、ゴーリーから影響を受けた作家の本なんかが企画展示されていました。
ただ図書館なので、貸し出しされまくっててゴーリーの本がほとんどなかったです(笑)