エイリアンを発見した宇宙貨物船を襲った悲劇から数十年後を描きます。
凶悪なエイリアンから逃れたリプリーが再び対峙することになってしまいます。前作でも十分酷かったウェイランド社(リプリーたちの雇い主)ですが、ここでさらにクソっぷりが露呈します。アンブレラと良い勝負ですよね……。
前回は1匹だったエイリアンが大量発生っていうんだから、ヤバさもアップ! エイリアンとのバトルも楽しい2作目です。
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あらすじ
宇宙船ノストロモ号から単身脱出したリプリー。脱出用のシャトル内で冷凍睡眠のまま漂っていたところを救助されました。
目覚めたリプリーは、雇い主だったウェイランド社の社員バークから、自分が50年以上眠っていたことを知らされます。
さらに、リプリーのエイリアンについての報告を会社は信じず、宇宙船を爆破した責任を問われてしまいます。そして、エイリアンの卵があった惑星には、すでに多くの移住者がいて生活しているというのです。リプリーは警告しますが、会社はとりあいません。
しかしその後、リプリーの元を訪れたバークから再度あの星へ一緒に来て欲しいと打診されます。移住者たちと連絡が取れなくなり、海兵隊を派遣して調査することになったのです。
最初は拒んでいたリプリーですが、自身のトラウマと向き合うため、エイリアンの抹殺を条件に同行することを決めます。
エイリアン2
1986年 アメリカ
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:シガニー・ウィーバー、ランス・ヘンリクセン、マイケル・ビーン
ちなみに、原題は「ALIENS」。複数形になってるのがセンスを感じます。
海兵隊VSエイリアンというバトル展開が熱い
なんと言っても見所は、エイリアンの巣での大量エイリアン。
前作では一体だったエイリアンが、今回は移住者たちを使って大量発生しています。
海兵隊がその巣になっている、大気発生装置(酸素?)内部へ潜入するのですが、そこに潜んでいるエイリアンたちがゆっくりと姿をすのです。
内部の構造上戦闘に銃を使えず、火炎放射器で応戦することになるのですが、その行動が後で墓穴を掘ることになってしまったりして、ここで一気に海兵隊の戦力が削られることになってしまいます。
1体でも絶望的なエイリアンに囲まれるというだけでもゾッとします。倒しても倒してもなお現れるエイリアン。2のエイリアンはウォーリアーと呼ばれていますが、そのネーミングが納得です。女王を守り、繁殖を促す戦士。まさにそういう感じ。
そこに獲物がいるから集団で狩りに向かう、と書くと人間とそう変わらない印象を受けます。
まぁ、一切こっちの話が通じないって言うのがアレですが。
巣の中で大半の海兵隊が死んでしまい、残った人員も、武器もわずか。
そんな中活躍するのがセントリー銃。動くものを探知して自動で発砲する銃で、エイリアンたちが住民たちの居住区へとやってくる通路へと配置されます。
その銃の消耗具合で、エイリアンの大量さが分かる演出がすごくいい! 撃っても撃ってもいなくならない大量さに絶望を覚えます。
しかしエイリアンのコンセプトはすごい。
エイリアン自体が戦闘に特化した体を持っているので、質より量とは違います。相手を狩るという本能だけの戦闘能力の高い生き物が大挙して押し寄せてくるのです。人間のように怯えることもない彼らですが、学習能力は抜群です。どれだけバリケードを築こうとも、やすやすとくぐり抜けてやってくるのです。
見た目のインパクトだけでなく、その体を構成する物質が闘う相手をことごとく不利にします。
実際、エイリアンに捕まることだけが脅威なのではなく、倒す時に飛び散る体液の酸で負傷したり死亡したりするのです。
1作目では、その酸で船体に穴があくのでは、というピンチがあったりしました。今回は酸素のある建物内だからそういう心配はほとんどありませんでした。大量発生するため接近戦になることも多く、そのせいで負傷が多くなります。
今回はバトル展開が熱くて、無敵ではないにしても数で押してくる相手に立ち向かうには、人間は余りにも弱いのだなとつくづく感じさせられました。人間は消して戦闘に特化した生き物ではないのですね。エイリアン強すぎ。
それは結局のところ、数の問題というわけでもないのです。
女王を核にした組織ができあがり、種としての生存本能に忠実なエイリアンたち。1体が撃ち殺されようが、10体撃ち殺されようが、彼らは気にしません。学習はしても、それは獲物を得るためのルートを探るということだけです。
小賢しいことは一切せず、通れる場所を探し、相手を襲うという大変シンプルな戦闘スタイルが彼らを強くしている一因でしょう。
防御という概念が存在しない集団はとても恐ろしいですね。
1作目に引き続き、クソっぷりが爆発中のウェイランド社
エイリアンシリーズではおなじみのウェイランド社。
今回は頭からまぁ酷くて笑っちゃいます。
リプリーの話を信用しないあげくに、宇宙船爆破の責任について言及したりするのはまだわかります。いきなり信じられる話でもありませんし。酷いけど。1作目の流れで、ああいう会社なのね、というのは大体分かってはいましたが、2でも酷い。
バークは分かりやすく本性を現します。
会社からの指示で移住者にエイリアンの調査に向かわせたことにも、まったく罪悪感を感じていないようです。あの開き直りっぷりに、彼がどういう男なのかもわかります。そして会社も、それを容認した上で、さらにエイリアンの捕獲を最優先に考えているのです。
描かれていないことなので、なんとも言えませんが、移住者を調査に向かわせたのがバークの独断で、その責任を挽回するためになんとしてでもエイリアンの捕獲をしなければならなかった、なんてことも考えられます。
そもそも会社はリプリーをまったく信じていなかったのですから、ありえる話だなーとも思えます。
リプリーのキャラクターが生きてくる2作目
リプリーのキャラクターがはっきりしたのはこの2作目と言ってもいいのではないでしょうか。
1作目のレビューでも書きましたが、冷静だし頭もいいけど、なんだか掴めない印象でした。
しかしこの2作目は、混乱する海兵隊の仕切る中尉が役に立たないと思ったら自分で装甲車を運転したりと、極限状態での判断力の高さが伺えます。
エイリアンとの防衛戦でも、セントリー銃を活用した籠城戦の配置を考えたりとかなりできる人。
2作目ではっきりと彼女の「エイリアン殲滅」という強固な意志を確立したのではないでしょうか。
さらに、今回ははっきりと守るべき対象としてニュートという存在があります。
50年以上宇宙を漂ってしまったことで、自分より先に娘が高齢で亡くなってしまっているというショックなできごともありました。
ニュートを守ることは代償行為のようにも見えなくもありません。しかし、ニュートの存在は確実に彼女を奮い立たせる要因でもあったのではないかと思うのです。
それはとても理解しやすく、観る側も2作目のリプリーはとても感情移入がしやすいのではないでしょうか。
個性抜群の海兵隊たち
リプリーもですが、今作では海兵隊たちがまた個性抜群で、序盤で退場する人々が惜しかったです。
後半まで大活躍するヒックス、バスケス、ハドソン、ゴーマンも濃い。
隊長のアポーンとか、バスケスと仲のいいドレイクなんかはもっと観たかったです。
隊長は、遠巻きにされているリプリーが手伝いを申し出た際に、最初は微妙な反応をしつつも、バリバリ働けるリプリーをみて大笑いするのがいい。いかにも兵隊の隊長という言動ですが、厳しそうだけどジョークはジョークで理解していて好感が持てます。だからこそ、兵隊たちもバンバン軽口たたくんだろうな、と。
隊長のリーダーシップ、もっと見たかったなぁ。
バスケスとドレイクの連係プレイでの戦闘とか、面白そうです。
けっこう早い段階で戦力が削がれてしまったので、海兵隊の強さとか戦闘能力の高さが実感できないままだったのが惜しいです。いや、そういう映画じゃないんだけどね。
この映画観た全員がヒックスに惚れます。ヒックスいい。かっこいい。
考えが柔軟で、冷静。リプリーがする提案をちゃんと考えて採用したりときちんと考えられる人です。
脳筋のバスケスと、ビビりまくってるハドソン、戦力外のゴーマンと残った数少ない海兵隊をまとめて仕切る手腕もあります。リプリーにも理解を示しており、彼女が心を許せる相手になっていきます。
アンドロイド、ビショップ登場
前作のアンドロイドに酷い目に遭わされた経緯から、リプリーはかなり警戒しています。
技術も進み、「自分はあのような故障はしない」と自ら語っています。
ランス・ヘンリクセンを見るたびに「ビショーーーーップ!」と言いたくなるほど印象に残る役です。
危険な場所へと向かう役を引き受け、「わたしだって行きたくはないよ」と語る彼が印象的です。
エイリアンシリーズ全編を通して、このアンドロイドたちの存在が鍵になっています。彼らは人のために作られ、人に従います。そこに意思はないのでしょうが、なぜか惹かれるキャラクターです。
感情を持たないとされる彼らですが、その表情、一挙手一投足に何か意味を感じてしまうのです。
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