POVのホラーオムニバス映画、V/H/Sシリーズも3作目。
「ファイナル・インパクト」は邦題なのでホントにファイナルなの?と一応疑問もあります。
原題は「VIRAL」。
直訳すると「ウイルス性」という意味です。
なんかしれっと20年後ぐらいに4作目が出てきたりして。
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失速気味の3作目にして完結編
DVDの商品説明なんかでは「最終」と書かれてるので、完結編扱いなんですかね。
1,2と発見の多かったPOVオムニバス映画でしたが、3作目にして失速ぎみなのは否定できません。
そう考えるとこのへんで潮時といえなくもないか……。
V/H/S ファイナル・インパクト
2014年 アメリカ
監督:マルセル・サーミエント、グレッグ・ビショップ、ナチョ・ビガロンド、ジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッド
※ネタバレ注意
1.Vicious Circles
監督:マルセル・サーミエント
今回のリードタイトル。
動画で一発当てようと常に撮影ばかりしている主人公。
住んでいる町でカーチェイスが始まり、興奮した彼は恋人の静止も聞かずに決定的瞬間を撮影しようと外へ飛び出します。
しかしすでに車は通り過ぎた後。警察に静止されているところに、恋人も外に出てきます。しかし彼女は様子がおかしく、ふらふらと車道へと歩き出します。
そこへアイスクリームバスが突っ込んできて、彼を静止していた警官がはねられてしまいます。さらに彼女の姿が消えており、主人公は自転車でアイスクリームバスを追いかけるのですが……。
感想
リードタイトルにしてはわかりにくすぎます。
アイスクリームバスはカーチェイスを繰り広げつつ、同じ場所を周回しているようです。それに色んな人が巻き込まれます。
最初の自転車の人たちのはけっこうえぐくて、足削れてくのは痛くて観てられませんでした。痛い系は苦手……。
主人公を始めとして、巻き込まれた人たちは「撮影している」という共通点があります。作中でもなんでも撮影することに対して皮肉が込められる場面もあったりと多少メッセージ性を感じなくもありません。
インターミッション的に挿入されるにはちょっと難解すぎて「?」です。
2.Dante The Great
監督:グレッグ・ビショップ
助手が密告したことにより、凄腕のマジシャン・ダンテに行方不明になった助手の殺害容疑がかけられます。今の助手の女性は取り調べを受けるのですが、彼のマントにはとんでもない秘密がある様子。
容疑が確定し、彼を拘束するためにSWATが派遣されるのですが……。
感想
定点カメラなんでしょうが、ベストアングルで撮影されすぎててすごく違和感がありました。POVくくりにする意味あるんかいと言いたい。
邪悪な力を持つマントの非現実さをPOVでごまかしたような作品で、嘘くささの方が前面に出ています。奇抜なバトルに力入れすぎましたね。
3.Parallel Monsters
監督:ナチョ・ビガロンド
自宅の地下で独自の研究を行っていた主人公。
彼は平行世界とこちらの世界を繋ぐ研究を行っており、ついにその実験が成功します。繋がった向こう側には同じように自分が存在し、同じ研究をしていたようです。
鏡のように反対になっているというだけで、お互いの境遇はほとんど同じなことを確認した彼らは、15分だけ交代してお互いの世界を探検することにします。
しかしそこは似ているようで確実に違う世界で……。
感想
入ってみた平行世界は表面だけがそっくりで、あとはすべてが違うというお話。
向こうからこっちに来た方の人は一体人の嫁に何してくれてんの、という展開です。こっちから向こうに行った方はなんか分けわかんなく巻き込まれた感じがありますが……。
文化の違いが凄まじいですね。
彼らの集まりがなんだったのかは気になるところ。あのぶら下がってる奴をどうするんだろうか。
最近海外ドラマのフリンジ観たとこだったので、平行世界という設定にニヤッとしました。着地は面白いけど、エロというより下ネタみたいな話で苦笑い。
4.Bonestorm
監督:ジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッド
スケボーのプレイしている動画を撮影している若者たち。
良いスポットがあると、メキシコまで出かけます。そこは使われていない水路のようで、誰かが亡くなったのか、祭壇のようなものがあり、地面には何かの文様が描かれています。
さっそく撮影を開始するのですが、突如、様子のおかしな女性が現れます。彼女に話しかけたカメラマンは、突然腕を切断されそこに倒れます。
気がつくと周囲には布をまとった集団が現れており、完全に囲まれてしまい……。
感想
必ず1作はある馬鹿な若者の話。
メキシコまで遠征してスケボーやりに行ったら、そこはなにかが封印された場所だった、という展開。
現れた骸骨集団は若者たちを排除して封印を維持したかったのか、それとも彼らを生け贄に解除したかったのか……。どっちですかね?
グロがメインで頭に付けられた映像で至近距離バトルが楽しめます。が、ブレブレなので画面酔い注意です。至近距離撮影の関係上、誰がどのタイミングで死んだとかがわかりにくいです。
バトルがメインで、最後に封印されていたものが出てきて終了です。召還系だと2作目のカルト教団ものがいい出来してたので、見劣りしますね。
全体的に分かりにくく、作品それぞれは小粒で物足りない
前作まではあった、アクロバットなPOVもなりを潜めています。「何を映すか」の方にばかり注力していて、「こんな手法があったのか!」という驚きは薄いです。
間に入るアイスクリームバスのカーチェイス話も、リードタイトルとしてはイマイチ分かりにくいです。これまでの大量のビデオテープを再生する、という流れではありません。
ネット時代でビデオテープ自体が廃れてしまったこともあるのでしょうが、もうちょっとここまでの流れを意識して欲しかった。廃れたのなら「なんだこの骨董品……」扱いでやるのもひとつの手だと思うんです。
もはやタイトルのV/H/Sがどっか行ってるし……と残念な気持ちに。
定番の流れというのは、ある程度いけばセオリーとして受け入れられるものです。「あの流れも飽きたでしょ」よりもこの映画のあたりまえとして最後までやって欲しかったです。3作目で終わるのなら尚更。
今作に至ってはアダム・ウィンガードが絡まなくなったわけで、クオリティの低下はその辺が原因なのでしょうか。
テイストがこれまでと違いすぎて、V/H/Sシリーズと銘打つ必要があるかなとすら思えます。ネタ切れが原因ではない残念感のある作品になってしまいました。
V/H/Sシリーズの記事はこちら
前作までは面白かったよ……。
過去の「V/H/Sシンドローム」と「V/H/Sネクストレベル」はどちらも「おお!」と思える作品がありました。趣向が凝らされていてPOVの可能性を感じさせてくれるのが嬉しいです。