ジェーン・ドウというのは、身元不明の遺体につけられる仮の名前です。
海外ドラマの刑事ものが好きだったりするとよく耳にしますね。身元不明で昏睡状態で見つかったりする事件の被害者なんかにもつけられます。
日本で言うところの名無しの権兵衛的な。
ちなみに男だとジョン・ドウ。映画の「セブン」にも出てきましたねー。
つまり身元不明の女性の遺体の解剖をするお話。まさにタイトル通りのお話。
面白かったのでとてもオススメ!
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あらすじ
一家惨殺事件の現場から発見された身元不明の女性の遺体。
家族で遺体安置所兼火葬場を営んでいるオースティンと父親のもとに解剖が依頼されます。外傷もなく、殺された家族との関係もわからないその遺体は「ジェーン・ドウ(身元不明遺体)」とされ、保安官は翌朝の記者発表のため何か手がかりを求めていました。
まずは死因を探るために2人はジェーン・ドウの解剖を始めるのですが、解剖が進むごとに遺体の不可思議さは増すばかり。
さらに、地下にある解剖室で異様な現象が起き始め、彼らはこの遺体が普通ではないと考え始めます。
ジェーン・ドウの解剖
2016年 アメリカ
監督:アンドレ・ウーヴレダル
出演:エミール・ハーシュ、ブライアン・コックス、オルウェン・ケリー
※ネタバレ注意
解剖シーンがリアル!でもリアルだからこそそこまでグロとは感じない?
わたしはホラー映画は好きなんですが、そこまでグロは求めていません(好きだけど)。
なので比率としてはだいぶ観やすくて良かったです。
不思議なもので、グロシーンも、たとえば切り裂かれた人が「ギャー」とか「うわー」とか痛がらないと、見る側もそこまで感じないんですよね。
なので解剖シーンはガッツリ内蔵とか映っているんですが、目を背けたくなったり、気持ち悪くなったりはしません。あくまで個人の感想ですけど……。
海外ドラマ好きで、CSIとかクリミナル・マインドなんかの犯罪捜査ドラマをよく見るんですが、解剖シーンかなりはっきり見せるんですよ。特にCSI。なので解剖描写に関してはけっこう耐性ができてたみたいで。
面白いのはこの解剖が進んでいくに連れて、この遺体がなんかおかしいぞ、というのがわかっていくところ。
ミステリの謎を積み重ねていくみたいで、楽しいです。描写もリアルでチープさを感じさせません。
意味深な遺体のアップにゾワゾワする
解剖シーンでかなり気になるのが、体に何かするたびに遺体の顔がアップになるところ。
B級ホラーなんかだと安易に遺体を動かす(生き返らす)傾向がありますが、この映画のいいところは、そういう小さい脅かしをしないことです。
ジェーン・ドウはメスが入ろうが内蔵を取り出されようが微動だにしません。
なんだけどなんか意味深に遺体の顔が映されるんですよ。気になるよねー。今度こそなんかリアクションするんじゃないかってこっちがドキドキしちゃう。
でもって、安易な展開だと、ラストはジェーン・ドウが立ち去っちゃったりするんですけど、そうならなかったのはよかったー。しっかりと最後まで死体として存在してた。
ラストシーンの意味深な足ピクは余計かなと思いました。
映画の舞台は終始解剖施設内というシンプルさ
冒頭少しだけ外のシーンがあったりするんですけど、基本はすべて自宅の地下にある解剖施設。
解剖室だけでなく、遺体安置所や火葬の施設もあるんでそこそこ広いですが、右往左往する規模としては小さめですかね。
閉じ込められて出られない、というのを強調するにはこのぐらいの規模がちょうどいいのかなって気はします。
てっきり早々にパパが犠牲になってしまうのかと思いきや、微妙に痛めつけて去っていくジェーン・ドウ。
理由はもちろんあったんですけど、お亡くなりになるは完全にとばっちりの主人公の彼女だけ。しかもあんまり意味ない感じで、今回のかわいそう対象は彼女だな。
お父さんのほうが割りと痛い目に遭っていて(解剖している張本人だからね)、引きずり倒されて襲われたりします。でも決定的なことにはならない。
この辺、一人ずつ犠牲者が出るパターンのホラーに慣れていると「あれ?」となるポイントです。もちろん生かされている理由はちゃんとあるんですけどね。
最初この映画を知った時はてっきり大学とかの解剖室で助手の人が閉じ込められてひとりぼっちで頑張る話かなーと思いこんでたんですけど、全然違いました。
家族関係がいい!ありがちなギスギスした家族関係じゃないところもポイント高し!
大なり小なり家族なんてものは問題があるもので、特に映画に登場するキャラクターはその傾向が強いですよね。物語の進行として当然なんですが。
で、そういうのでよくあるのが親子仲が悪いとかそういうやつ。
なんですが、今回お互いを思いやってる2人の関係性が良いです。信頼できるお父さん(色々あるけど)とお父さんを支えたい息子で、余計な言い争いとかまったくないんですよ。
不毛なギスギスがないとストレス感じず映画観れるもんなんですね。
オチは魔女。魔女かー……と思うのは日本人だからかも
悪魔とか魔女とか、やっぱりこの辺日本人だとピンとこないのかも。
というのも、悪魔とか魔女って言われて、あんまり怖くは感じないんですよね。どっちかというとファンタジー的ニュアンスが強くなるからかな。
とは言ってもこれまでさんざん「悪魔オチ」かよ!と思わされてきた肩透かし系とは一線を画しています。
何でかなーと考えたんですが、結局のところ、ジェーン・ドウが最後まで横たわったままだったことかなと。
過剰な演出を入れず、彼女にも一切語らせない。
主人公たちは解剖で彼女が何者なのかを知る、という地味にも思える展開を採用しているのが良い!
その分ジェーン・ドウの得体の知れなさが際立っています。
一番やっちゃいけないのは続編で魔女復活させることだからな!
絶対やるなよ!
監督は「トロール・ハンター」の人だった!
面白いのも納得です。「トロール・ハンター」はPOVの中でもかなり面白い部類に入る作品。
ホラーではないんですが、モンスター系が好きならオススメ!
ファンタジーとかによく登場する「トロール」が現在も存在しているという設定で、彼らを管理するのがお仕事の人に密着しちゃうぞ!というお話。
説明だけ読んでるとどこが面白いのかわかんないでしょうけど、もうこれめっちゃ面白いから! 観終わったあと「トロールは、いる……!」と確信してしまうはず(嘘)。
「ジェーン・ドウの解剖」とは全く毛色が違いますが大変おすすめな作品です。
ちなみに、「ジェーン・ドウの解剖」のお父さん役の方は「RED」でロシアの人を演じたブライアン・コックスさんです。